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ベニシアの「おいしい」が聴きたくて [よんでみました]

ベニシアの「おいしい」が聴きたくて

ベニシアの「おいしい」が聴きたくて

  • 作者: 梶山 正
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2024/02/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ベニシアさんの夫による介護の日々を綴った最新刊。
既に読んだ3冊で晩年までの把握はしていたが、編集者の手もおそらく加わりつつ、正直なところを打ち明けていると思う(詳細はここでは略します)。
目が不自由になり、そこからは症状は進んでいった。住み慣れた愛する大原の自宅で最期を迎えたとはいえ、その壮絶さがあらためて伝わった。
もう少し時間が経過&夫の許可がとれるのならば、NHKは晩年にスポットを当てた番組を一本作るのではないか。スタッフによる見舞いは頻繁にあった様子なので…。

神と黒蟹県 [よんでみました]

神と黒蟹県

神と黒蟹県

  • 作者: 絲山 秋子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/11/13
  • メディア: 単行本

『黒蟹県』は著者が架空で作った地名です。
読み始めてすぐにこの本を参照したのでは、と。想像力のある、こういう作業が好きな方には永遠に広がる楽しい世界のように思えます。
帯には『まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集』。
絲山さんを読むのは久しぶり。独特な空間ですが、心地よさがあります。

【(略)これがスマホだったらまだ、同じ水槽で泳いでいる別の種類の魚くらいの気持ちになれるけれど、運転席で本を開かれるとシャッターを閉められたように感じてしまう。】

家や家族を持たぬ者にとって、転勤は最高の楽しみだ。(略)ウマの合わない顧客も存在していない。からっぽだ。しがらみだけがリセットされ、まったく新しい環境に住まうことになる~。(略)蓄積がないということはこんなにも心が楽になるものなのだろうか。】
著者は会社員時代、転勤経験があったな。
私も「住めば都」体質なので賛同する。

【草木がまったくない裸地から鬱蒼とした森林が形成されるまで、植生が変化していくことを遷移という。】
知らなかった。この言葉。

【かれは内職でミシンを踏む母の背中を見るのが好きだった。縫い終わりに糸を長く引き出してぷつんと握り鋏で切る。】
ここでは電動ミシンだったが、足踏みミシンを使う私の母の姿を想い出した。握りバサミ、これは「半死半生語」ではない?(※NHK『今夜も生でさだまさし』)

忘れられない一冊② [よんでみました]

つづき。
これから私が読んでみたいと思った本、過去に同じように読んでよかった本を下記に(敬称略)。私の備忘録です。

阿刀田高 『グリーン殺人事件』ヴァン・ダイン《初めて推理小説を読む人に☆》 
角幡唯介 『影の地帯』松本清張《その姿から新聞記者の道を選んだのかも?》
           …松本清張氏は図書館バイト時代の衿、応対したことがあります♪
菊地秀行 『闇の梯子』藤沢周平《父の死を前に病院待合室の書架で出会う・その時の心理とハマる》
松田美智子 『春にして君を離れ』アガサ・クリスティ《専業主婦の傲慢さと勘違いをこれでもかと描く》
森山大道 『チボー家の人々』マルタン・デュ・ガール《亡くなる直前に母から勧められる・未読だそう》
山田太一 『立原道造詩集』《十代後半の気持ちを思い出すそう・「夢みたものは~」など》
詩集、いいよなぁ~。そういうシンプルな文章に触れたい。

忘れられない一冊① [よんでみました]

忘れられない一冊 (朝日文庫)

忘れられない一冊 (朝日文庫)

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/09/06
  • メディア: 文庫

きっかけはスポーツライター・生島淳さん(この人の物言いに誠実さを感じ、以前から注目していた:生島ヒロシさんの末実弟)が語る、2011年の震災で姉を亡くした詳細を「ラジオ深夜便」で聴き、著書『気仙沼に消えた姉を追って』を読もうと思ったため。残念ながら私の住む地域では所蔵せず、その件について短い文章だが掲載されているこの本を手にした。
各分野から、人生の岐路となった本が紹介されており、思った以上に付箋が付いた。『週刊朝日』連載。

生島淳さんの話に戻そう。故郷の気仙沼で暮らしていたお姉さんを震災で失った事実は、兄の生島ヒロシさんからもやはりラジオからだったか聞いたことがあり、印象に残っていた。
2011年3月11日の午後、実母の四十九日法要のため姉夫婦は遺骨を持って上京の予定だった。つまり、東京へ向かうのが午前中だったのなら命は助かったと思われる。自宅は津波で流されても。
大きな揺れのすぐあと、姉から淳さんの自宅に電話が入り、淳さんの息子さんが受けた。「そういうわけで今日はそちらに行けない」と。これが最期の声となる。
淳さん自身は外出中だった。自分のケイタイの方に連絡をくれれば「津波が来るから逃げろ!」と伝えられたはずだと《息子には重いものを背負わせてしまったと語っておられます》。

避難所に逃げた近所の人々は生き延びた。お姉さん、かさばるお母様の遺骨を持参しての移動に躊躇したのかもしれない。自宅にとどまった姉夫妻は津波にさらわれた。
半年後、お姉さんの遺体が確認される。ホッとしたそうだ。
…一日早く東北から離れていれば。「津波」の恐ろしさに気づいていれば。
わずかな判断が生死を分ける。

他のみなさんの「忘れられない一冊」はへ。

透明なゆりかご:コミック(1~7巻) [よんでみました]

透明なゆりかご~産婦人科医院看護師見習い日記~(1) (Kissコミックス)

透明なゆりかご~産婦人科医院看護師見習い日記~(1) (Kissコミックス)

  • 作者: 沖田×華
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/06/19
  • メディア: Kindle版

ドラマを拝見、原作の漫画が気になり、あたることに《第42回講談社漫画賞少女部門受賞》。

但し書きあり。
【この作品の病院内、医療の描写は作者が産婦人科医院でバイトをしていた1997年当時の状況です。現在とは多少異なることをご了承ください。】
その後、マンガ家となり、過去の経験から作品が生まれた。

以下、1~7巻より。
【私は看護師に向いていないのだろう でも続けていく気持ちを持ち続けられたら私が(患者から)得られる信頼もあるのではないだろうか】

【看取ることは悲しみだけじゃない そこに存在したことを記憶にとどめることでもあるんだ】
著者(主人公)はアウス《中絶した胎児》の処置に多くかかわった。

【NICUは退院していくか最後を看取る場所】
31年前のAyuの時を思い出した。出産後ベッドに一度来たが、その後はNICUへ。母親の私は予定通り退院し、母乳を届けに通った。ダウン症候群の告知は、それからしばらくのことだった。
我が子は無事退院となり、今に至る(NICUから出て、外界と同じ空気を吸える状態となったことは喜びだった)。

【いい父親になることは勿論大事なことだが、まず大事なのはいい夫であることではないだろうか】
自分のお腹が大きくなっていく母親(母性)に比べ、父性の育ちが一歩あとになるのはやむを得ないことなのだろう。私は、母も父も子どもに徐々にそうさせてもらうものだと考える。一緒に育っていくものだと《私はAyuを子というより共に生きていく同志に思っている》。

やむを得ず、産んですぐの赤ちゃんを養子縁組に出す女性。
【人の幸せにとって一番大切なのは縁だと思う】
人との出会い、その土地との出会いも、縁だよなぁ。
縁は肯定していってよいものでは。「縁がなかった」「縁があった」で人生は進んでいく。

ドラマ化されたのは1~3巻の内容だったかと。やむを得ない妊娠、待望の我が子を授かったもののその後の夫婦間の亀裂、妊婦の幼少の育ち方によるいろいろ~などのエピソードは、4巻以降にも多い。
私の想像以上の産婦人科の様子が多数紹介されていたことは確かで(びっくりする話ばかりだった)、『透明なゆりかご』のドラマ続編は難しくなさそうですが、同著者のドラマ『お別れホスピタル』(全4話)をようやく見終わり、とてもよかったのですけど(松山ケンイチのDr.はいい:再放送があったら是非ご覧あれ)、やはり濃~い内容にずしん々だったのであれで終わりでいいのかな。

…8、9巻(全9巻デス)もまもなく読みます。読後の記録は、これにて終わりとします

古本屋台 [よんでみました]

古本屋台 (書籍扱いコミック)

古本屋台 (書籍扱いコミック)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/04/05
  • メディア: 単行本

続編が刊行されたようなので、初巻をあたってみる
「古本屋台」のことは以前触れている(そのあと単行本化されていた)。

これは本好きには必須のコミックだ。
本は重いし、雨が降ってくる日もあるだろうし、現実世界にはほぼありえない(量が少なければ…だが)。
よくあるラーメンやおでんの屋台の格好をして「古本」を並べている移動店(笑)なのだ。
《ある書店が再現して絶賛発売中の「2」を売っている♪・著者Xより》

【ウチは飲み屋じゃない、本屋だ】…白波お湯割り一杯百円だけ、希望者には提供する。
【電子書籍も良し悪しですな しかしハナっから電子書籍で出すと「古本」になりようがない
↑ この文章は以前も私は抜き書きしている。染み入るトコロは何年経っても変わらないのね

「ジューサーミキサ」について
【冷蔵庫の上に袋かぶせて置いたのが最後ですね 袋かけてしばったりしたらもうアウトね】
次に使いずらい保管をしたら、もうそのモノの出番はナシ。所持している意味はないのよね。
そういうのを早めに見限っていったら、断捨離できるのでしょうが。なかなか、ね。
《まぁ、「古本」と「断捨離」って反対語みたいな存在でしょうが。》

【「クリちゃん」探してたんですよ。まさか朝のジョギング中に見つけるとは】
クリちゃん」、ご存知ですか。うちには箱入り4冊セットがある。何十年も開いていないけれど、絶対処分はしない、一生My本棚に並べておくヤツ。
母が買ったのでしょう(初版S45年・私は幼かった)。これは離しません。
価値も上がってますね。

『彷書月刊』『小説すばる』連載など。
両開きの一話完結もよい。しみじみこの世界に入ります。この夢を見て、屋台のおじさんに会いたい。古本のラインナップが本気で見たい!・笑。
じきに「2」を読みます。

KIMG1960.JPG
また、春の重い雪が降りました。再び「雪折れ」、起きています。
この冬で一番、『銀世界』がぴったりの景色。運転には不向き。空気まで白く降りている。
今月の山行(県内北の方での街歩き)、数日は足元ビシャビシャとリーダーが判断、中止となりました。
車もずっと洗えていないなぁ。気持ち悪い。この季節は仕方ないよね。

ベニシアさん [よんでみました]

ベニシアさんの四季の庭 [DVD]

ベニシアさんの四季の庭 [DVD]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2014/05/28
  • メディア: DVD

2013年9月に公開された映画『ベニシアさんの四季の庭』
かなり以前のBSの録画を、ふと時間のできた先日によーやく鑑賞した。つまりベニシアさんの訃報(昨年6月・享年72歳)のあと、ということ。
英貴族出身で大原に暮らしたベニシア・スタンリー・スミスさんのことは、Eテレでことあるごとに再放送されていた『猫のしっぽカエルの手』でみな知っていたと思う。和洋折衷&ハーブの庭で過ごす姿に私は癒されていた。

この映画を見終えて、一筋縄ではいかないベニシアさんの進行形の人生に私は驚いた。きれいきれいな面ばかりに、ただ憧れていたのだと。
もう少し深く、このご夫婦のことを知りたくて、図書館検索にかけた。

季刊雑誌『チルチンびと』での連載が2冊の本として刊行されていた。加えて、ベニシアさんの最期の詳細は、昨年秋号の巻頭に写真家の夫・梶山正さんが載せ、それをもってすべての連載を終える…とあった。

ベニシアと正、人生の秋に

ベニシアと正、人生の秋に

  • 出版社/メーカー: 風土社
  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: 単行本


ベニシアと正2 青春、インド、そして今

ベニシアと正2 青春、インド、そして今

  • 出版社/メーカー: 風土社
  • 発売日: 2022/07/15
  • メディア: 単行本


チルチンびと117号

チルチンびと117号

  • 出版社/メーカー: 風土社
  • 発売日: 2023/09/11
  • メディア: 雑誌

ベニシアさんは1950年生まれ。正さんはその9歳年下。バツイチ同士の結婚。
彼女には既に3人の子がおり(統合失調症の娘さんあり)、正さんとの間に新たに男の子をもうけた。
正さん、山男であり、ちょっと逸脱している側面があると私は思った(ベニシアさんを哀しい思いにさせたことも)。数々の怪我にもあっている。

イギリスの貴族生活に早くから違和感を感じたベニシアさんは、インド訪問などを経て、日本にたどり着く。日本人男性と最初の結婚。その後、正さんと再婚し、大原の古民家に移り住む。
2002年、NHKのガーデニングコンテストの入賞がきっかけとなり、彼女出演の番組誕生となった。

NHKの目に留まり、番組制作されることは間違いなく名誉。お金ではないのだろう。
だが『チルチンびと』の巻末に(編集者の筆によるもの)、出演料が一回の撮影で10万円だったとあり、私もさすがに安いなぁ~と。また、よく噂されるように、再放送料は驚くほど少ないことは真実のよう。まっ、正さん、彼女は儲けようとは思っていなかった(私の暮らしをみなさんに紹介したいだけ)というけれど。

ベニシアさん、2015年に目が見えなくなってきたと訴える。脳の萎縮を来たす進行性の疾患(いずれ認知症に)と判明。家族のフォローは容易ではなかったろう。
2021年7月からはグループホームへ。面会の不自由に加え、本人のコロナ罹患も重なり、より重篤に。
23年春、医師の促しで病室から大原の自宅へ。英からかけつけた子どもたちにも見守られ、静かに最期を迎えた。
家探しの際に、ご本人がビビッと嬉しく感じた通り、「死を迎える家」となった(『私が死ぬ家を見つけた!』)。

【正へ:ありがとう。すべてありがとう。もう、いろいろなことがあったね。許さないといけないこともいっぱいあった。】
【大原の我が家は、私がずっと夢見てきたことの集大成といえる。ここの小さな庭は、私の心の内なる庭を現している。】

【老いにつれて彼女は目が見えなくなり、できないことが増えている。ベニシアは戸惑う。そして夫の僕も、戸惑っている。~これもすべて人生なのだ。】
【僕の心の中に彼女は生きている。ハーブや花を愛した彼女を想いながら、僕は今、庭の手入れをしている。】
失ったあとのほうが、より長く一緒にいる感じがすると。
亡くすということは、そういうことなのかもしれない。

上記3冊はいずれも正さんの写真ふんだんの見やすい書籍となっています。関心のある方は、お二人の青年時代を丁寧に追った文章を読んでみてください。ここは、ごく一部の読後感です。

【追記】
ベニシアの「おいしい」が聴きたくて

ベニシアの「おいしい」が聴きたくて

  • 作者: 梶山 正
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2024/02/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

↑ こちらが夫の手による最新のエッセイ。8年間の闘病生活が中心のようです。
いずれ読みたいと思います。

60代、少しゆるめがいいみたい [よんでみました]

60代、少しゆるめがいいみたい (単行本)

60代、少しゆるめがいいみたい (単行本)

  • 作者: 岸本 葉子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2023/11/10
  • メディア: 単行本

岸本さんの、図書館で借りられる最新のエッセイ

「大人の居場所、百貨店」とあった。デパート、今は繁盛してなさそうですね。活気があるのは、今も昔も食料品売場か。
【~出張先の知らない都市で変に時間ができてしまい、居場所を探しづらいときも、百貨店に入ってしまえばなんとかなる。百貨店は大人を拒まず、裏切らない。】
次に東京へ遊びに行けた時は(直近は昨年3月)『伊勢丹』をぶらぶらしてみたいな。

「コロナ禍が少し落ち着いて」~からの文章も多かった。
『ココア』って覚えていますか。接触の可能性があるとスマホに知らせてくれるといううたい文句だったアプリ。結局、費用だけかかって役に立たずに過ぎていきましたね。それでも大きく腹を立てないのは国民性?
マイナンバーカードの行方も限りなくあやしい。いずれにせよ、更新する人は減ると思います。任意ですから。

【コロナ禍の影響による、高齢者の心身の衰えが懸念されているが、美の面の後退もあるのでは。美を保つことにつながる行動が減っている。ある程度の年になると、キレイな人とはキレイに「している」人なのに。】
ふむふむ。たしかに・笑。

「これからも履かない靴」の処分について。
たしかに、一般衣類より「残す・残さない」の判断は明確そう。私もやらねば☆
《父の自立歩行が難しくなった時、父にもう新しい靴はいらないのだな…を思い出した。》

【改築にあたっては、介護に学んだことも多い。50代では当然、老後に向けた住まいづくりになるが、例えば手すりは、前もって家じゅうにつけておかなくても、必要になったとき必要なところへ、介護保険を利用して付ける方が現実的。】
我が父の介護保険で付けた手すりを、今、母が頼りとしています。今後は母が、足りていない場所に希望申請していくことになるのでしょう。

年をとったら「掃除をしやすく」すること。
停電になる時にも備え、スマホと老眼鏡はすぐ手にとれるようにしておくこと。】
その通り。老眼鏡は必須です。
スマホか。私の場合、ノートPCか(肌身離さず避難?)。
いや、災害の備えとしても、ネットを手軽に駆使できるコンパクトな『スマホ』に慣れておくことは先決事項!?
先送り中ですが・汗。

超シルバー川柳 黄金の日々編 byシルバーネット  [よんでみました]

超シルバー川柳 黄金の日々編

超シルバー川柳 黄金の日々編

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2023/09/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

【仏壇の 亡夫に留守番 頼みます】
手を合わせて外出する姿が目に浮かびます。

90歳以上の傑作選、再び。

マリエ [よんでみました]

マリエ

マリエ

  • 作者: 千早 茜
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/08/25
  • メディア: 単行本

新井見枝香さんつながり、そして近頃は直木賞を受賞したことで知られる千早茜さんの作を初めて手にした。

小説なので詳細は書かないが、40歳を前に離婚した女性が描かれる。等身大で読みやすく、好感は持てた。
結婚相談所についてのくだりがあり、「家政婦としての労働力を求められている」「対等なパートナーを探すつもりがない」といったエピソードをふふんと読んだ。目的がはっきりしているだけに、そう感じることも多いのだろうか。
元夫は「勝手で、他者への気遣いができない男なのだった」とあった。
そこは結構、人間として肝心かなめなところだよね。

シルバー川柳 天真らんまん編 byシルバーネット&シルバー川柳 13 byポプラ社 [よんでみました]

笑いあり、しみじみあり シルバー川柳 天真らんまん編

笑いあり、しみじみあり シルバー川柳 天真らんまん編

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2023/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

【キッチンは 対面式でも 相手なし】

シルバー川柳13 妻の名を呼んだつもりがネコが来た

シルバー川柳13 妻の名を呼んだつもりがネコが来た

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2023/09/06
  • メディア: Kindle版

【電話してくるのは 知らない孫ばかり】
【我が女房 昔は自慢 今我慢】
【出来ません 近寄りません セルフレジ】
私もそう。あとで係員を呼ぶくらいなら、迷わず有人レジに並びます。
時代に遅れているかしらん。

ポンコツ一家 [よんでみました]

ポンコツ一家

ポンコツ一家

  • 作者: にしおか すみこ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2023/01/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

帯より。
【母、80歳、認知症。姉、47歳、ダウン症。父、81歳、酔っ払い。ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。】

これだけの紹介なら読んではいなかったのだが、ラジオ深夜便での出演でナマの現状を聞き、興味を持った。私のあとも予約者が多数待っている。
1974年生まれの著者、一時ブレイクした姿とは一転したフツーのいで立ちで時々コメント席で拝見しますね。

【ローテーブルの上に、割り箸が突っ込まれたままのカップ麺や缶詰、茶色いお惣菜がこびりついたプラスチック容器、半分セメント化したミカン、黒炭のようなバナナの皮等々の食べ残し、残骸が溢れている。~そんな中に埋もれるように母が、いた。】
【野菜室がヘドロだ…。】
【こうして私は、母がおかしいことを全身砂まみれで体感し、借りようと思っていた部屋の契約をやめて実家に帰ったのである。】

元看護師のお母さま、認知症の検査の前に「今日は何日かおしえて!」と娘に聞き、対策。ああ、これ、元気な時の私の父もしていたな。朝刊の日付を見て予習していた(笑)。
実際に医師に聞かれたのは、自身の生年月日だったのだが、その日の日付を言ってしまったお母さま。

実家のいろいろを背負い込み、何とはなしに入った映画館。大ヒット映画の内容がひとつも入ってこない。

【誰かが、私の手を握った。姉だ。柔らかい掴みどころのない手だった。骨はあるのだけど、それを感じない、私と違う…はかない手だった。】
著者の昔の記憶。

大変な日々ではあるけれど、ところどころに愛が感じられる。
お母さまの認知症状も、まだらだ。しっかりしている時もあれば、そうでない時もある。
Web連載をまとめる。「家族に内緒で家族を売った」始まりだったそうだが、理解を得られた模様。

君のクイズ [よんでみました]

君のクイズ

君のクイズ

  • 作者: 小川 哲
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2022/10/07
  • メディア: Kindle版

どちらかで話題になっており、ようやく回ってきた。
著者は1986年生まれ。ハヤカワSFコンテストで大賞を受賞しデビュー。

始めから、ぐいぐいと引き込まれる。
TVのクイズ番組での回答模様の不信感から謎を探っていく物語。内容的には繰り返しのような感じが続くのだが、飽きさせない。綿密な流れ。
十分納得させて、おしまいに読者を落とす。
こういう考えのすれ違いって、あるよなぁ。私は、十分失礼だと思うけれど。
楽しませてもらった。まだまだ予約者が待つ。
…このところ「クイズ番組」って、少なくなっているのでは? 「TV離れ」もある?

⇒2階は室温が33℃を超えた。
もう暑さは頂点を過ぎたと思っていたのだが。夜まで階下に避難します。

ハンチバック [よんでみました]

ハンチバック (文春e-book)

ハンチバック (文春e-book)

  • 作者: 市川 沙央
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/06/22
  • メディア: Kindle版

いつもは『芥川賞』受賞作等をすぐに読むワタクシではないのですが(むしろ避ける・あまのじゃく体質)、1979年生まれの市川沙央(さおう)さんには興味があり、受賞直後の会見からライブでネットにて拝見していました。本作で、文學界新人賞も受賞。
筋疾患先天性ミオパチーにより人工呼吸器・電動車椅子を利用。

小説なので、内容には極力触れないように~します。
…ただ、途中の時点で、大変失礼なのかもしれませんが「この人のそばでマネージャー的なお手伝いをしたい」と強く自覚しました。私は文章を書くことは好きだけれど、このような言葉の表現力は到底持ちえない。俳句のセンスもまったくない。
せめて、このような生み出す力のある方がより力を発揮するお世話ができたら、、、ととっさに思っていたのでした。

この本の、もちろん全部がご自身のことではないはずですが、側弯症であるがゆえに出産には臨めないかもしれない、ならば…! と考える気持ちは、人間ならばあるかもしれません。

【奥から痰をふたたび吸引して取りきると脳に酸素が行き渡って気持ちが、いい。】
【息苦しい世の中になった、というヤフコメ民や文化人の嘆きを目にするたびに私は「本当の息苦しさも知らない癖に」と思う。】
【こんな小さな食堂でも、私にとっては公共の場であり、社会だった。】
【母の声のこだまに支配されながら椅子の上で脚のパズルを完成させる。】
【私はあの子たちの背中に追い付きたかった。~(略・※核心なので)】

中ごろに「安積遊歩(あさか・ゆうほ)」さんの名があった。
今後も市川沙央には注目していきたい。
全くご自身の体験と違う主人公ものも、どんな世界を広げてくれるのか見てみたい。

居心地のいい場所へ [よんでみました]


絲山秋子サンは最近書いていないのかなぁ~? と検索していて見つける(暮しの手帖セレクション)。70数名の寄稿。それぞれにこの短さの随筆もよい。興味ある名が続く。

まず絲山さん《2017年》。
【群馬に移住して12年が経った。~もとから縁のある土地ではなかったことを忘れてしまうほどに、馴染んだ。~今でも毎朝「なんて美しい場所に住んでいるのだろう!」と感激しているのだ。】
【~肌で感じること、肌が合うものは、言葉にはしにくいが迷いがない。信じていいものだと思う。】

井上荒野さんは、私が今後読むかな~という一人。
【~内見の日に玄関のドアを見たところで、購入をほとんど即決してしまった。】

中村好文さんは以前、読んだことがある。

池内紀さん。
【ケータイがあらわれるまで手帳が一番の友人だった。】
あらあら、私はまだそう、です。
…結局、誘惑に勝てず、「4月はじまり手帳」を買い直し&切り替えて、だいぶ経ちます。「年度区切り」の事柄は多い。一生このタイプでいくかな~と思っています。

太田治子さん《2012年》。
【社会人二年生の万里子は~】
【(娘の万里子は)「~ゼイタクをしなければ、私の給料だけでも暮らしていけるわ」そんなことも、いうようになった。】
そうだよな、うちのAyuが30歳を超しているのだから、大きくなるわけだ。

ドナルド・キーンさん
【結局、私が日本で好きなものとは、人と人の間にある優しさと言えるでしょう。】

朝井まかてさん。この人もいずれ読みたいと思いながら、まだ。
【(夫婦揃って)二人とも居職であるので家に二つの仕事場が必要で~】
「居職(いじょく、とよむ)」、なんかいい言葉だ。

好きなところ(人)を走り読みさせていただきました♪
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