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離陸 [よんでみました]

離陸

離陸

  • 作者: 絲山 秋子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/09/11
  • メディア: 単行本

絲山さん、これは秀作です。今までの作品の中では最高峰と思います。到達した~という感じ。
女性作家ですが、男性的なさっぱりさがある。また男の主人公、好感でした。
これから読む予定の方は、ここまでで~。


【下の妹の茜は生まれつきの視覚障害でぼくの表情は見ることはできないのだが、勘が鋭いというのか、ちょっとした感情の変化がすぐにばれてしまう。~
(仏に遊びにきて)「お兄ちゃん彼女できたん? 女のひとのにおいがする」etc…】
【~肩でぼくを躱(かわ)すようにトイレに入った。その身の躱しかたにぼくは覚えがあった。確信があった(←記憶をなくした女)。】
【~年が明けて、2016年になった。】
そして、まだ話は進む。ダム関係の公務員職から始まり、中年過ぎまで、その人生を描く。短期間のストーリーでないことも、もちろん中身からも、その深みが伝わる。
なんだか黒部ダムに行きたくなった《私は幼児期に家族で行っており、その記憶はある》。

主人公、仕事を変える。
【守らなければならない家族を失って、誰を養う必要もなくなったのがきっかけではある。】
【終わったんだ。イルベールとの旅は。】(←ある子ども、の台詞。成長した。)
…少し東北の震災を受けての部分もある。悪くはないのだが、入れなくてもよかったのではと。←気になったのはここだけ。絲山ワールドはもう完成したのでは。

あとがきより。
【エッセイを含めるとこの本が20冊目の出版となります。
~けれども「迷ったら苦手な方へ進め!」とも、自分に言い聞かせているのです。】
ご本人、「短編書き」と。とんでもない!! 長編、いいです。苦手、ではないと思います。

※読書記録、数冊転記を溜めております。年内までには…が目標☆
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