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二人の親を見送って by岸本葉子さん [我が家の介護いろいろ&認知症関連]

二人の親を見送って (中公文庫)

二人の親を見送って (中公文庫)

  • 作者: 岸本 葉子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: 文庫

岸本葉子さん。私が手にしたのは2015年刊行の単行本の方。
タイトルから「介護~」カテゴリーに入れましたが、方々に連載されたエッセイを収録したもので、親関係以外も含まれていました。

【(親と)併行して自分も年をとっていることを、リアルに感じる。長寿の時代、親の介護や看取りは自らの加齢を意識する時期と重なる。】
【二人の親を見送った後に来るのは、この世で再び会うことはないという紛れなき事実、精神的な後ろだてを失ったのに似た寄る辺なさ、そしてある種の身軽さだ。~(略)親亡き後の人生ははじまったばかりだ。】
双親とも既に見送った私の友から「ほっとした」というナマの声を聞いたことがある。それもまぎれもない本音なのだと思う。

【父親を90歳で見送った。最後の最後は入院したが、それまで在宅で介護していた。】
岸本さんちのきょうだいで交代しての介護については、既に読んだ
このようにほぼ最期まで、親族間のみで見守ったケースの方がまれであろう。ご本人の意志が確認できた上で在宅を希望されるのなら、私もそれが家族共に一番幸せと思う
だが肉体的、精神的負担が大きくあり、認知症が伴うなど限界を感じるならプロの介護を受け、それぞれの今の人生を前向きに考えるべき。
「どのような形をとったにせよ、終えてみればああすればよかったという後悔は残る」と著者は書いています。

《…話はそれます。少子化が話題になる昨今ですが、私は「晩婚の増加による介護の若年化」も今後、深刻と考えます。ひとりっ子が多い中、20~30代という若さで親の高齢化と直面します。》

【最近ではシニアの人から「うちでお正月準備をするのもたいへんだから、旅館でゆっくりすることにした」と聞いては、「なるほどそういう方法もあるな。私もいつか」と思っていた。が、いざ、娘としての役割を免除されても~(予約をするとか)行動を起こそうとしないのが、われながら意外だ。】
ああ、私も同じくツアーのひとり参加者から「年越しは毎回ここと宿を決めている」と聞いたことがある。確かにパンフレットにはお高めのそんなコースが目立つ。
でも私の中では、揃ってTVを見ながらきままに自宅で~の形を、いつまでも年末年始の定番としたい気がする。

エンディングノートについても。私、全然、記入していない。あら、10年以上白紙のままだ(苦笑)。
著者は松の内につけているそうだ(更新、しているということですネ)。今が記入時期かも!

おわりに、より。
【父の家との行き来がなくなり、それに要した時間と体力を他に向けていいはずなのに、すぐには動き出さないで、亡き者たちの気配にじっと耳を傾けていた。】
そんなものだろう。それぞれのペースで動き始めれば、いい。
ただ、ひきずられるままに余力を全部持っていかれることは、見送られた側もけっして望んでいないと思う。