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ハンチバック [よんでみました]

ハンチバック (文春e-book)

ハンチバック (文春e-book)

  • 作者: 市川 沙央
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/06/22
  • メディア: Kindle版

いつもは『芥川賞』受賞作等をすぐに読むワタクシではないのですが(むしろ避ける・あまのじゃく体質)、1979年生まれの市川沙央(さおう)さんには興味があり、受賞直後の会見からライブでネットにて拝見していました。本作で、文學界新人賞も受賞。
筋疾患先天性ミオパチーにより人工呼吸器・電動車椅子を利用。

小説なので、内容には極力触れないように~します。
…ただ、途中の時点で、大変失礼なのかもしれませんが「この人のそばでマネージャー的なお手伝いをしたい」と強く自覚しました。私は文章を書くことは好きだけれど、このような言葉の表現力は到底持ちえない。俳句のセンスもまったくない。
せめて、このような生み出す力のある方がより力を発揮するお世話ができたら、、、ととっさに思っていたのでした。

この本の、もちろん全部がご自身のことではないはずですが、側弯症であるがゆえに出産には臨めないかもしれない、ならば…! と考える気持ちは、人間ならばあるかもしれません。

【奥から痰をふたたび吸引して取りきると脳に酸素が行き渡って気持ちが、いい。】
【息苦しい世の中になった、というヤフコメ民や文化人の嘆きを目にするたびに私は「本当の息苦しさも知らない癖に」と思う。】
【こんな小さな食堂でも、私にとっては公共の場であり、社会だった。】
【母の声のこだまに支配されながら椅子の上で脚のパズルを完成させる。】
【私はあの子たちの背中に追い付きたかった。~(略・※核心なので)】

中ごろに「安積遊歩(あさか・ゆうほ)」さんの名があった。
今後も市川沙央には注目していきたい。
全くご自身の体験と違う主人公ものも、どんな世界を広げてくれるのか見てみたい。