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ポンコツ一家 [よんでみました]

ポンコツ一家

ポンコツ一家

  • 作者: にしおか すみこ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2023/01/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

帯より。
【母、80歳、認知症。姉、47歳、ダウン症。父、81歳、酔っ払い。ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。】

これだけの紹介なら読んではいなかったのだが、ラジオ深夜便での出演でナマの現状を聞き、興味を持った。私のあとも予約者が多数待っている。
1974年生まれの著者、一時ブレイクした姿とは一転したフツーのいで立ちで時々コメント席で拝見しますね。

【ローテーブルの上に、割り箸が突っ込まれたままのカップ麺や缶詰、茶色いお惣菜がこびりついたプラスチック容器、半分セメント化したミカン、黒炭のようなバナナの皮等々の食べ残し、残骸が溢れている。~そんな中に埋もれるように母が、いた。】
【野菜室がヘドロだ…。】
【こうして私は、母がおかしいことを全身砂まみれで体感し、借りようと思っていた部屋の契約をやめて実家に帰ったのである。】

元看護師のお母さま、認知症の検査の前に「今日は何日かおしえて!」と娘に聞き、対策。ああ、これ、元気な時の私の父もしていたな。朝刊の日付を見て予習していた(笑)。
実際に医師に聞かれたのは、自身の生年月日だったのだが、その日の日付を言ってしまったお母さま。

実家のいろいろを背負い込み、何とはなしに入った映画館。大ヒット映画の内容がひとつも入ってこない。

【誰かが、私の手を握った。姉だ。柔らかい掴みどころのない手だった。骨はあるのだけど、それを感じない、私と違う…はかない手だった。】
著者の昔の記憶。

大変な日々ではあるけれど、ところどころに愛が感じられる。
お母さまの認知症状も、まだらだ。しっかりしている時もあれば、そうでない時もある。
Web連載をまとめる。「家族に内緒で家族を売った」始まりだったそうだが、理解を得られた模様。