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50歳になりまして [よんでみました]

50歳になりまして

50歳になりまして

  • 作者: 光浦 靖子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2021/05/29
  • メディア: 単行本

1971年生まれ。只今、カナダに留学中のタレント・光浦さん。この人が時々出演していたラジオが好きでした。
画面からも「打たれ弱そうな」感じはありました。読了して、確信に。

【私は文房具屋になりたかった。手芸屋にも、花屋にもなりたかった。留学したかった。海外に住んでみたかった。~今から全部叶えよう。】
【仕事も友人も住む場所も、「世界はここだけじゃない」を知ったら、どれだけ強くなれるんだろう。私はそれを知りたいのです。英語から逃げた分岐点に戻って、もう一つの人生も回収したいんです。】

【私は落ち込みやすく嘘に敏感です。~しかも長く落ち込みます。】
【私はどこからでも落ち込むことができます。もう、神のように無から不安を生み出すことすらできます。】
それに比べると私自身はあきらかに楽観的で忘れやすいし、根に持たない方だと。
著者は頭がよく、すべて察してしまうのでしょう。
…詳細は省きますが、将来描いている理想郷(p64~66あたり)を是非つくってほしい! です。

コロナ禍に巻き込まれ、待って々ようやく留学へ。
ネガティブ思考から今は抜け出せていることを勝手に祈らせてください。

《ずいぶんと予約待ちし、まだまだ後ろは待ち状態・支持しているファンがたくさんいるということですよね・芸能人らしくないのが魅力☆》

ショローの女 [よんでみました]

ショローの女 (単行本)

ショローの女 (単行本)

  • 作者: 伊藤 比呂美
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2021/06/21
  • メディア: 単行本

伊藤比呂美サンは、時々読んでいる。今は、金曜日夜の高橋源一郎さんのラジオ番組でのコメンテーターでおなじみだ。
比呂美サンのエッセイを求め、借りた。

【あたしは父を独居させた。母が寝たきりになって入院した後、8年間独居させた。父は寂しい寂しいと言っていた。今死んだら死因は退屈だなんて冗談めかして言っていたが、本気だったと思う。あたしは、聞いているふりをしながら、耳を閉じていた。】
こういう正直なところが好き(お父さまとの詳しいことはこちら)。ナマの語り口は独特なモノ(笑)があるが、この人は想像よりずっと繊細でやさしいのだ。

【「こんど来るときは、こうやって早いうちにいつ来るっておれに言わないでおいて、明日行くよって、突然言うようにしてもらいたい」とあるとき、父はあたしに言ったのだ。「そうでないと、いつ来るって知ってから、待っているのがばかに長くってしょうがない」と父が言った。あのときの父の気持ちは、こういう気持ちだったんだなと考えた。(←詳細略)】

多数、付箋はついた。でも限りがあるので選りすぐったら、お父さまとの部分になった

人生、山あり谷あり家族あり [よんでみました]

人生、山あり谷あり家族あり

人生、山あり谷あり家族あり

  • 作者: 岸田 ひろ実
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/05/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

岸田奈美さんのお母さま、ひろ実さんの最新著書。

ダウン症候群の子を持つ、私と同世代の女性(その長男の上に、頼りになる長女・奈美さんの存在あり)。大きく違うのが、夫を早くに病で亡くしていること(私の場合は離別・笑)、それからまもなくの3年後に自らが患い、車イスの生活になったこと。
今も病院と縁の切れない生活を送られている。

【~これまでの私の人生を振り返ってみると、大きな3つの辛い出来事がありました。障害がある息子の誕生、夫の死、私が突然歩けなくなったこと。】
最後の3つ目の受けとめは本当に苦しかったと想像できる。自分の手助けがこれからもっとも必要な我が子が居ながら突きつけられた現実。
でもこれには続きがある。
【でもこの3つの出来事は、決して悪いことばかりでなく、多くの気づきを与えてくれました。辛い出来事は私にとっての転機だったのです。この3つの出来事から教わったことをプラスの視点で伝えてみようと思いました。】

【夫は今、人の形をして、私や子どもたちの横にはいません。(略)~ぼんやりとだけどしっかり生き続け~岸田家は今日も奈美、良太、私、そして夫の浩二と、この4人でご機嫌なのです。】

【~残念に思うことは、障害のある子は「特別扱い」されがちであること。本当に必要とされるのは、「特別扱い」ではなく、あたり前にみんなと一緒に学び、一緒に過ごす、そう、「特別な扱い」にしないための「特別な支援」です。】

スイミングスクールに通わせる際のエピソード(良太さんも我が家と似た体験)についてはAyuが幼かった時の初入園のことを思い起こした。
「是非我が園にいらしてください!」が、障害を持っている詳細を打ち明けると、手のひら返しで2園に断られた。3件目で、手厚い公立の女園長に出会えた。迷わず専任の保育士も用意してくださった。あの時の嬉しさ(と悔しさ)は忘れない

超シルバー川柳 笑顔がいっぱい編 byシルバーネット [よんでみました]

超シルバー川柳 笑顔がいっぱい編

超シルバー川柳 笑顔がいっぱい編

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/09/12
  • メディア: 単行本

【朝ドラを 見終えて爺は また床へ】
私の母も居間ではほとんどこっくり、午後はベッドで休むようになりました。

【病院しか 着てゆくとこがない 一張羅】
【閉じられて 外は夕焼け ウイルス禍】
【弁当を 妻と一つで 昼終わり】
【この選挙 これが最後か 気にかかる】
【シャンパンが よぼよぼ爺を しゃんとさせ】
今回は90歳以上の傑作選でした。頭しっかりで90歳を迎えられたら~ですね。

本日は、お日柄もよく [よんでみました]

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

  • 作者: 原田マハ
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/06/07
  • メディア: 文庫

この本を手にしたきっかけは2つ。
1つは、向田邦子さんの評論に原田マハさんと邦子さんの妹・和子さんとの対談があり、和子さんが以前この『本日は、お日柄~』を読まれて絶賛したエピソードが気になっていたこと。
もう1つは、新年1月に『あさイチ』の出演を見て、著者の髪型に一目惚れし、3月、私はショートカットにした~があり。半年以上経ち、ようやく借りました。

りんごアルバイトの昼休みに車の中で読み始めたのですが、今の読了になってしまいました。
最初からなかなかおもしろかったのに、細切れ読書になり、作品には失礼な形に。一気読みをお勧めします。

スピーチライターという職業が登場するのですが、さすが小説家(原田マハさんだから?)、言葉の魔術師、お上手です。その文章たちには惹きつけられました。
コピーライターという仕事も出てきます。
【短いフレーズの中に森羅万象を表現する】
句作でコツを覚え、コピーライターの道に進んだというエピソード。

まずは「人の話を聞く」ことが大切。
【苦しいとき、人は変わることを望むものなのだ。進歩することを、新しく始めることを。】
オバマ氏の「Change」を踏まえて(初版:2010年8月)。

【「相談っていうより、決意表明だな」】
【安定した仕事で幸せになるのもいい。けれど、人を感動させ、幸せにする仕事に就けるのはもっといい。】
今の時代、終身雇用はもう古い、よね。転職はチャンス。逃さず新しい世界へ。そんな若者たちが描かれています。

小説ですので細かい内容には触れませんが(もう十分書いちゃったかな?)。
すがすがしいショートカット&トークに見とれてしまった原田さんの本にまた会いにいくかも。
WOWOWでドラマ化されていたのね・チャンスがあったら見てみたい!》

シルバー川柳 12 byポプラ社 [よんでみました]

シルバー川柳12 特売日手押し車でかっ飛ばす

シルバー川柳12 特売日手押し車でかっ飛ばす

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2022/09/07
  • メディア: 単行本

【名所より トイレはどこだ バスツアー】
高齢者でなくても寒い季節にはありがちです。苦い記憶を思い出しました。

【両方の グチを聞かされ 猫が立ち】
老夫婦のペット、ですネ♪ ツレナイのが猫。

【孫の名を いちかばちかで 呼んでいる】
三文字の女子の名、キラキラネーム…も加えてあり。お察しします。

【おじいちゃん スマホでテレビは つきません】
そーいう私もPCからのTVer利用の際は、思わずリモコンを探す手になったり。《←マウス、だよ》

自分でも一句作りたいところなのですが。ついみなさんの傑作を楽しむ側ばかり、です。

1%の努力 [よんでみました]

1%の努力

1%の努力

  • 作者: ひろゆき
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2020/03/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

この人のことはよく知らないのですが(1976年生まれ:団地住まいで育つ)、このYouTubeに偶然出会い《株主優待生活で知られる「桐谷広人さん」(←好き♪)から辿りつく:ロンブーの田村淳さんはインタビュアーとしても優れているなぁ~》、バサッと切る具合(まさに一刀両断)がなんとも言えず、長い予約待ちで手にしました。

【~比較対象がないほうが、人は幸せなんじゃないか。そう思うと、「自分はこうやって生きてきた」ということをちゃんと軸として持っておくことが必要だ。】
【モノを手にいれるということは、その後のメンテナンスを引き受けるということだ。そう考えると、モノがないことも豊かさだと捉えることができる。】
【僕の場合は、「面白いな」と思ったビジネスにとりあえず出資することがある。】
【うまくいかなさそうなのに、「大丈夫ですよ! 絶対にうまくいきますよ!」と言ってしまうほうが残酷だと僕は思う。世の中、みんな本音を言わない。】
【アメリカ人に、「アメリカでは何が流行っていますか?」と聞くのは、非常にナンセンスだ。アメリカ人にはさまざまな人種の人がいる。~】
【~僕は留学時代、「先輩が言うことは絶対だ」なんて考え方はまったく感じなかった。個人が主張し、おかしいと思ったことはおかしいと言う。アメリカはそういう環境だった。先輩、後輩のような関係は、ない国にはない。】

書いていることすべてを理解できないけれど(サーっと目を通しましたし、次元が別かと)、胸のすく一言がいくつもあったのでした☆

シルバー川柳 丘を越えて編 byシルバーネット [よんでみました]

笑いあり、しみじみあり シルバー川柳 丘を越えて編

笑いあり、しみじみあり シルバー川柳 丘を越えて編

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/05/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

【青空と この年金が あればよい】
この境地にいずれ立てるのでしょうか。

【定年後 お風呂の掃除 終身刑】
【徘徊の 祖母のゴールは テレビ前】
うまい! と唸るばかりで自ら創作はできません・汗。

まっとうな人生 [よんでみました]

まっとうな人生

まっとうな人生

  • 作者: 絲山秋子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/05/18
  • メディア: 単行本

絲山さんの作品はすべて読んできている。
『逃亡くそたわけ』の続編ということだが、このblog開始以前に記録していたようで、今はその内容をうまく思い出せない。
あいかわらず導入部から気負いがなく、入りやすいなぁと感じる。
コロナ生活もちらちら描かれる。

【~あたしには自分の家の生活がある。でも、着陸する前にしばらく旋回したい気分なのだった。】

シルバー川柳 ああ夫婦編 byシルバーネット [よんでみました]

笑いあり、しみじみあり シルバー川柳 ああ夫婦編

笑いあり、しみじみあり シルバー川柳 ああ夫婦編

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/01/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

【松葉杖の 二丁拳銃が 指示とばす】
わかる! 我が母が片方のステッキで、ついモノを差し示す時、ヒヤッとします。特に他人の前で~(汗)。

【寝て消せる ヒモを垂らして 一人寝る】
【スッピンの 妻のゴミ捨て 早いこと】
心あたりあります。

【髪切った? 気づいてくれる デイサービス】
ここではありがたい声掛けでも、もはや、社内などで「髪切った?」なんて軽々しく言えない時代。自然に出たセリフも飲み込まなくてはなりません。
今回も楽しませてもらいました☆

猫に教わる [よんでみました]

猫に教わる

猫に教わる

  • 作者: 南木 佳士
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2022/03/08
  • メディア: 単行本

以前読んだ医師の、今度は小説でなく最新のエッセイ。このあとも待ち人多し。

【病棟への階段を昇ろうとする足が一歩も前に出なくなったのは38歳のころで、以降は坂を転げ落ちるがごとく、出勤不能の状態に陥った。】
死と多く接する仕事だからか、精神を病む。心身のバランスを保つために書き始めた小説は、世に認められる。
文中には、絲山秋子さんとの対談のことも。彼女も同じ芥川賞作家で病(双極性障害)を持ち、公表している。

【大きく開いた下顎の動きが止まったとき、北西に向いた窓から射す夕陽が彼の顔をあかあかと照らし、光の束が外に向かって流れてゆく。病室内で凝縮された時間が一気に蒸散するかのように。~】
到着の遅かった家族にかわっての、一患者の描写。

母に頼まれて予約した。昔から読者だったそうで私はまったく知らなかった。

南極ではたらく&火星に住むつもりです [よんでみました]

南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる

南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる

  • 作者: 渡貫 淳子
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

2冊とも、ラジオ『安住紳一郎の日曜天国』でのゲストの話を聴き、借りる。
こちらは「4月17日」放送分より。←「38分」あたりから。YouTube視聴、おすすめです。これを聴けば、この本の内容はほぼ把握、と言ってよいでしょう。是非
渡貫淳子さんは、1973年生まれ。第57次南極地域観測隊に参加。「母親」である調理隊員は初だったそうだ。
応募3回目にして念願の隊員に選ばれる。そのチャンスは1年に1度のみだった。

【「せめて子どもが成人するのを待った方がいいのかもしれない」「でも健康診断を通過できなくなる可能性が高くなる」(略)「君の人生なんだからね」~母親ではあるけれど、家族ではあるけれど、それぞれが個人なんだからという考え方が私の根底にはある。だから家族を置いて、1年4カ月帰ることのできない昭和基地へと向かえたのだろう。】
チャンスが巡ってきたら、掴むしかない。おろおろしていたら逃すだけ。

【「渡貫さん、南極に来ようって女の人は、あんまり助けられるのって好きじゃないでしょ。俺は基本、渡貫さんには手を貸さないから。どうしても困った時は声かけて」】
これは自分の他にもうひとり調理を担当した男性の言葉。その通り、の渡貫さんだった。強い意志の持ち主に間違いないですよね。
この2人で、なんとこの一年以上の長丁場に必要な食料を量からすべて算段。一般人には考えにくいプロジェクトだ。

【お風呂は基本、海水。】
【南極ではごみをすべて日本に持ち帰るため、焼却した後の灰をドラム缶に詰めたり、汚水の浄化をしたりもしなければならない。】

帰国後。
【あんなに制約のある生活からなんでも自由な生活に戻れたのに、それ自体を苦痛に感じるとは思いもしていなかった。~何よりスーパーの惣菜コーナーに並べられている食品を見た時、時間が経ったらこれらはみな廃棄されるんだろうなと思っただけで涙が出てきた。】

おわりに、より。
【人と違うことをするのには勇気がいりました。でも誰もができないだろうと思っていたことをやり遂げたら、そこにはゆるぎない自信が生まれました。】


火星に住むつもりです ~二酸化炭素が地球を救う

火星に住むつもりです ~二酸化炭素が地球を救う

  • 作者: 村木 風海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2021/09/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

こちらは「4月10日」放送分より。
世の中には、若くして未来のことを考えて動いている青年がいる。時々、それに遭遇し感銘する。
2000年生まれの村木風海(かずみ)くん。化学者、発明家、冒険家、炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長。刊行時、東京大学工学部化学生命工学科3年。
2030年までにCO₂排出量を半分にしなければ地球温暖化は止められずetc…。

私には難解な部分も多く、その中でも ↓ 下記なら身近なこととしてとらえられ~・苦笑。
【レジ袋を何回断れば、エコバッグは本当の「エコ」バッグになるのでしょうか? 正解は600回。エコバッグを作るにはエネルギーがかかるのです。本当のエコになるには、毎日買い物に行ったとしても、最低2年間は同じエコバッグを使い続けなければエコにはならないのだ。】
同じように、マイ箸と割り箸も、洗って、ましてやお湯で洗剤を使って~となると、エコになるかは状況によりけりだと。

…私とまったく違う場面に立つ方の著作は、目からウロコの刺激をたくさんくれます。
このラジオ番組にも感謝です。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2 [よんでみました]

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/09/16
  • メディア: ペーパーバック

前書と同じくらい、今回もよかった。ブレイディみかこさん。

成長してきた息子(13歳)は、生活していく中でのギモンを素直に父親や母親(著者)に打ち明ける。それらの多くは、日本国内で生きている青年のものとは明らかに違う。人種のこと、貧富の差…。政治や政党への関心度も異なる
日本は、異国と陸地でつながっていない。これは「考える」という点において大きいのではと思う。

【息子の学校ではのノンバイナリーの教員が2人いる。~「第三の性」とも表現されるこの言葉は、男性でも女性でもない、性別に規定されない人々のことを表す。】
日本では、まだまだ開かれていないのでは。

学校関係での面接時の質問の回答を考えていた息子のメモより。
【「リーダーの資質」について息子は~「言葉だけで支持するのではなく、自分がまずやって見せることが大事」と書いてある。(略)~もう一つ(息子の)回答が書かれていた。「導く、ということは、前から引っ張るということだけでなく、ときには一番後ろに立ち、後部が離れてしまわないように押し上げること。」】
後者は、著者の尊敬する人がよく言っていた言葉だそうだが、息子の中に生きていた。

【一番近いところにいる大人を鬱という病に持って行かれた子どもには、未来なんて鉄の柵で囲われた狭い場所にしか思えない。そのことは、わたしもよく知っている。】
そう書いた上で、しばらくしたのちに明らかにしている。
【わたしの母は精神の病を患っている。もうずっとむかしからそうなので、例えば私と息子が英国から帰省しても、彼女は奥の部屋から出てこない。~(息子は)それが納得できる年齢になると、しばらくはやたら祖母のほうに近づいて行って、明るく挨拶したり、よろける彼女の歩行を助けようとしたり気を遣っていた。~息子の気持ちはいつも裏目に出て、つらい経験もした。】
毎年、その体験を重ね、祖母への対応が上手になったそうだ。著者は、小さい頃から家族として考えることがたくさんあっただろう。それが、視野の大きさにつながってもいるのだろうと想像した。

空港での息子と祖父(主夫となり、母親の介護者となっている著者の父親)の別れ際、孫はおじいちゃんにおばあちゃんのことをさりげなくお願いする。
【ぽそっと親父が言った。「こいつ、よう見とうよ」】
ちゃんと家族の関係性を理解して育っている。
【きっとこれから、息子がわたしたちには言わないことがどんどん増えていくのだ。】

『社会を信じる』というフレーズにも考えることがあった。

子どもは自分たちから産まれてきたけれど、あたり前だが別人格の人間なんだよなー、そうやって青年期を通っていくんだなーと。
男の子、女の子と分けて考えたりはしませんが、男の子の成長って、近くで体験してみたかったなぁと思うのでした。過程で、ちゃーんと子どもっぽさも持っているのが男子ではないか?と。勝手な推測かな?

やっぱりこれもお手本にしたい文章でした☆

胃が合うふたり [よんでみました]

胃が合うふたり

胃が合うふたり

  • 作者: 千早 茜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/10/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

これは、新井賞の新井さんの著作だと私の中でカウントしておらず、今となった。知る人ぞ知る有名書店員と、作家(私は作品未読)が交互に書く。1980年生まれと、1979年生まれ。
タイトルから内容は推測できる。

新井見枝香さん
【~仲間とワイワイ食べるのが楽しいときもある。だが、楽しいせいで、味わうことが二の次になってしまう。私はそれが嫌だった。】
千早茜さん
【~料理人が意図した通りに熱いものは熱いうちに冷たいものは冷たいうちに食べたい。】
本当に美味しいモノをいただくなら、たしかに集中したい。その点が、まず2人は合っていた。

《千早》
【私は記録魔だ。日記は2歳の頃からつけている~】
すごいな。きっと保管もしてあるのだろう。作家になるべくして、か。
【新井どんは拍子抜けするくらい自由だった。目を離すといなくなるし、計画なんてたてない。違うものを見たいときはさっと別行動し、食べるときには自然に集合する。眠りたいときに寝て、喋りたくないときは黙っている。】
とっても憧れるし、それを許容できる関係は「素晴らしい女ともだち」と思う。そう振る舞える新井さんは、もちろん相手を選んでいるわけで。

【けれど、新井どんは真剣だった。踊り子をつとめながらも、書店員も続けようと、各方面と話し合いをしているようだった。】
この本のもう1つの主題は、これだろう。元々、それぞれきっかけあって共に鑑賞へ出かけていたが、ある日、新井さんが出演者側になると言う。ほうぼうへの手回しもあっただろうし、友への報告は遅れたそうだ。
しかし、そんな友のステージを初めて観たとき、それまでの雑念は吹き飛んだ。
【人の作品をまっすぐに見る人は、同じようにまっすぐ放つのだと思った。~あんまりに可愛くて、楽しそうで、この子はステージで輝くために生まれたんだ、と感じた。】

新井さんは今、書店員&もの書き&踊り子の3足。正規で働きながら、所属先の理解を得て、自分が進みたい別の道も同時に~というスタイル、もっと認められていくべきでしょう。

【~新井どんは時折すっと退くのだ。衝動的な感情で人を傷つけ、自分も嫌な思いをしないように。途絶える連絡やふと生じる距離感は、言葉足らずな彼女の優しさだった。~彼女のほうがずっと人や自分を慮っている。】
適当な距離感。ますます人として惹きつけられる、新井さん

ちなみに、私もよく存じ上げない千早さんは、
《新井》
【~クッキーを、きちんとソーサーに載せた紅茶とともに味わっている~】人。
私のイメージもそうです。

千早さんの文章の中で、考えさせられたことが。小学生時代をアフリカで暮らしており、映画『パラサイト』は昔の自分の姿を突きつけられたようで苦い気持ちになったそうだ。
自分の家族は、使用人を使っていた側だった。彼らに裏の顔があることも幼いながら気づいていた(詳細略)。
別角度からも考える。大切なことに気づかされた。

《新井》
銀座はパフェの街である。】
あー、別腹のパフェ、食べたい。長いこと出かけられていないそちらの方へ行けたのなら、りっぱなやつ、いただきたいな~。何も考えずに。

おかあさんライフ。 毎日一緒におさんぽ編 [よんでみました]

おかあさんライフ。 毎日一緒におさんぽ編 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

おかあさんライフ。 毎日一緒におさんぽ編 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

  • 作者: たかぎ なおこ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/09/30
  • メディア: 単行本

たかぎさんの、育児コミック続編。1歳10カ月~3歳5カ月。一番、カワイイ頃ですね。
幼稚園入園に際し、夫婦でどこがよいかと見学。
こういう時ですね、ひとり親だとひとりで決断しないといけないのでうらやましいと心底思うのは。真剣に子どもによかれと考えてくれる頭数は複数あった方がよい。

入園グッズを、ミシン&手縫いで一式揃いで作ったな。片付けのたびに再会し、捨てることはなく、奥に大切にしまっています。
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