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もうあかんわ日記 [よんでみました]

もうあかんわ日記(ライツ社)

もうあかんわ日記(ライツ社)

  • 作者: 岸田 奈美
  • 出版社/メーカー: ライツ社
  • 発売日: 2021/05/31
  • メディア: 単行本

今年の3月10日から4月15日までnoteに綴られた日記。みんなに見守られた37日間、とあり(帯より)。
この本は最強でした。岸田さんが孤軍奮闘したこの春。いろいろあったけど家族それぞれが一歩進み、著者自身はさらに内容充実(ヘンな言い方だけど)、サイトに毎日寄るファンを増やしていることは間違いないでしょう。
既に書きましたが、岸田さんは現在30歳。今は所属していた会社から独立して、作家業などで広く活躍。
お父さまは早くに他界、お母さまは車いすユーザー、弟さんはダウン症。今春、お母さまが緊急入院。同居ではなかった岸田さんが、実家に残された祖母と弟のところへしばし舞い戻り、奔走した日々。
…率直な第一の感想。弟さんは今までのペースを守り、決して煩わせるわけではない。おばあさま、が大変でした。それは今も続いているのかな。病明けのお母さん、それで大丈夫なのかな。そう思います。

どこから書いたらよいでしょう。とにかく奈美さんは、そんな家族のことを公開し、少しでも世の中が変化していくよう、日々動いています。
私が思うに著者が支持されている理由は、気どらずにありのままを、笑いも入れつつ綴っているということ。そして今の若者の中でも逸脱したネット知識を持ち、常に見やすい運営ができていること。これに尽きます☆その知識はうらやましいばかり。幼くして、お父さまにMacを与えられたことが大きいのだと思います。

ダウン症の弟さんの性格は、同じ障害の子を持つ親ゆえよーくわかります。一筋縄でいかない頑固なところ、だからこそ持つ素直さ。水泳を続け、ダイエット作戦が進んでいるとよいなぁ。
【~でも姉ちゃんがしっかりしなくても、未来なんてなにもわからなくても、きみは幸せな方に行こうとする力をもってる。そう思う。】
ギリギリにトーチを持つお母さまの車いすを押す気に変わってくれてよかったよ~!
…このあたふたした間に、短期のグループホームにお世話になった記述も。とにかく弟さんはグループホームが気にいっている。その日が来るのを心待ちにしている。これはうまく空きが出たら、積極的に週末以外はお世話になってよさそう。迷うことはないですね。土日はまた家族のところで暮らせるのですし。

おばあさまは介護判定がようやく済み(苦笑…)、一緒に暮らす家族の苦労が減っていることを祈ります《我が父の場合は体が弱りつつ、認知機能が衰えて…ですが、足腰丈夫でたいていのことは出来るケースでのタイヘンさも想像できます》。

しかし、おばあさまにしろ、弟さんにしろ、制度を利用しようとするとなんでこんなに壁があるのでしょうね。必要とするときに、すぐに対応してもらえない。変わっていかねばならない仕組みがたくさんあります。
奈美さん、「デイリーミッション」(3時間のうちに5件の用事を済ます予定)を抱えた日がありました。それがことごとくうまくいかず。そういう日ってありますよね《重ね々、役所がらみの融通の利かないこと、ネ》。
たくさん消化せねばならない事項があって、うまくいけばよいけれど、そうでないときの落ち込み。私はMaxで一度に3つくらいの用事しかこなせないことを日々自覚しています。
あー、でも彼女は若い!のでした。まだまだこれからがパワー全開だわね。
この期間はまぎれもなく「あかんわ」だったけど。

お母さまの手術が無事終わり、退院。入院費の支払い、保険や高額医療費制度をすべて適用したあとでも自己負担額90万以上に。うーんキツイ。
…と同時に、これを支払える奈美さんのお仕事も見事だと思う。ボルボを軽快に運転できるお母さまの復帰、ほんとうによかった。
お母さまのいろいろをWebに書き、それをお母さま、病室で読むのを楽しみにしていたそうだ。
以下、弟さんについても触れていた。
【~わたしはエッセイで少なからず弟のことを書いて、生計を立てている。お金は弟のために使うべきだし(※スイミングスクールなど)、このお金を払うことで、弟のような人が一人でも多く通えるようになるのなら、丸儲けである。】

後半のドラム式洗濯機にまつわるエピソード、おもしろい(ってご本人たちにしてみれば楽しまれても…だろうが、著者はいつでも笑ってもらえたら、のスタンスだ♪)。それ以外のハナシもいっぱい詰まっている一冊。おすすめ。

【母が今回の手術で取り替えた心臓の人工弁は、10年から15年で取り替えなければならないと言われているので、また生死をさまよう大手術が控えているのだけれど、それは考えないようにしましょう。弱いわれわれは泣いてしまうので。】
その頃には少しでもその手術が大層な感じでないよう医学が進歩していることを願う。いつまでもこの家族には元気で&様子を発信してもらいたい。

付箋は大量についた。紹介しきれない。そして、この本は「朗読向き」だ。誰もが笑って聴ける(ごめんなさい)エピソードの連続だ。
で、しまった、勢い余って全部の付箋をはずしてしまった。
どこかに書いてありました、「今の自分が一番豊か」と。そうだと思います。
これからもWebの更新、楽しみです(これまでも全然追えていないのですが…ね)。
ひき続き、新刊読みます☆
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