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たましいの場所 [よんでみました]

たましいの場所 (ちくま文庫)

たましいの場所 (ちくま文庫)

  • 作者: 早川 義夫
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/12/10
  • メディア: 文庫

早川義夫さん。1947年生まれ。元歌手(ジャックス)、元書店主、再び歌手。著書「ぼくは本屋のおやじさん」で、昔々、私を魅了した。

結構、Hなことも書いてある。後半に行くほど、なんともいえなくしみてくる。この人の薦める本は素直に読みたくなる。(それは、先日の又吉さんにも感じた…。)
本屋を閉店する時のエピソードの数々は、いい!(ここでは省略。)

【言葉は、喋れる人のためにあるのではなく、もしかしたら、喋れない人のためにあるのではないだろうか。自分の都合のいいように「自分の意見」を言うためにあるのではなく、「正しいこと」「本当のこと」を探すために、言葉はあるのではないだろうか。】

【お得意様を大事にする店が嫌いなのである。誰をも区別せず、誰をも同じように歓迎する店が好きだ。お客がお客をじろじろ見ない。人を値踏みしない。お客を色眼鏡で見ない。くせを持たない。自己主張しない。得意がらない。うぬぼれない店が僕は好きだ。普通であることの素晴らしさ~。】

♪サルビアの花 という名曲を生んだ人でもある(カヴァーも、多いですよね・私は byあみん の印象が強い)。

【人の心の中は、わからない。考えてみれば、自分の心の中もわからないくらいだから、人の心などわかるはずがない。このごろは、みんな評論家ぽくなって、あいつはああだよ、こうだよと勝手に解釈したりしがちだけど、人の心は、そんな簡単に、人にはわからない。もっと深くて複雑なものだ。】

【(テープでよく聴く)“小林秀雄”は声がいい。息づかいがいい。落語のようでもある。やさしくてむずかしい。聴くたびに発見がある。~大江健三郎の講演テープも聴いたことがある。これも小説よりわかりやすかった。
~昔、井上ひさしの講演を生で聴いたことがある。面白かった。
「人の数だけ中心がある」。その言葉を聴けただけでも、充分の気がした。やはり、話が面白い人は、作品も面白い。】

あとがきより。
【~さんは、『この本に何回助けられたかわかんないよ』と帯文句を寄せてくれ、宮藤官九郎さんは「スミスの本棚」で本書を取り上げてくれた。素通りできない方たちがいてくれたのだ。】
というわけで、2002年刊品切れのエッセイが、文庫で復活した。
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