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表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 [よんでみました]

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

  • 作者: 若林 正恭
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/07/14
  • メディア: 単行本

2018年春に読む。
1978年東京生まれ。オードリーの若林さん。番組がきっかけで。
【一年前から家庭教師を雇っている。年齢もアラフォーだというのに、ニュース番組を見ても全く理解できないことが恥ずかしくなって~知りあいに紹介してもらった。~といっても授業をしてもらうのはほとんどカフェだから正しくはカフェ教師かもしれない。40の手習いだ(東大の大学院生※)。】
【「※先生、知ることは動揺を鎮めるね!」「若林さん、学ぶことの意味はほとんどそれです。」】

5日間の休みがとれそう、ということでキューバへ。自分で航空券、ホテルをスマホから手配。
【海外旅行に行く、というよりはこの街から逃亡するような心境だった。】
【機体が東京から離れれば離れるほど、頭の中のつまらない煩い事(わずらいごと)も離れていく。~だからぼくは旅行が好きだ。】

【(社会主義)キューバについてタクシーに乗る時、なるべく細くて背が低くて、高齢の運転手を探した。もしものことがあった時に、腕力で勝てそうな運転手を選ぶのだ。~同性を動物として勝てるかどうかで見るのは久しぶりだった。】
インドア派なのに、明日もまったく行ったことがない所に行ける。最終日はガイドなしで完全に一人行動すると決めていた。それらしいバスの乗客について行く(ビーチをめざして)。←このひとりの自由さ、私も好きです。

(以下ネタバレです・注意)


最後に、キューバに若林が行った理由が明かされる。
2016年4月、父親が亡くなった。葬儀が終わって母に、父親が行きたがっていた国を聞いたのだ。
【不思議なことに亡くなっても遠くでなく、この世界に親父が充満しているのだ。】

臨場感あふれる、若林さんの性格にあふれた一冊だった。
この5日間は、たったの5日間でも一生の時間だと。

(…今もラジオ番組を持っているのかな。ラジオはイヤなことをはき出せるのでよい、とありました。)

誘拐 [よんでみました]

誘拐 (ちくま文庫)

誘拐 (ちくま文庫)

  • 作者: 本田 靖春
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/10/05
  • メディア: 文庫

2018年春に読む。
著者(1933~2004年)は読売新聞記者。ノンフィクションのこの作品で、文藝春秋読者賞、講談社出版文化賞受賞。
東京オリンピックを翌年にひかえた1963年、東京の下町で起きた幼児誘拐「吉展ちゃん事件」である。

事件の名だけは知っていたが、私のよく知っている場所がこんなに出てくるとは思わなかった。
警察の失態(身代金の紙幣のナンバーを控えなかった、ミスの公表をごまかしたり等)が目につく。吉展ちゃんの命を重んじていないことがとにかく伝わる。許せない。
この事件をきっかけに「逆探知」に公社が協力するようになった。
犯人の貧困も詳しく描かれる。いわゆる「育ち」。
身代金50万円という額がそれを彷彿とさせリアルである。奪取に成功すれば犯人・小原保の初めて手にする大金…。
実際には誘拐した日に男児に手をかけていた。1971年12月、死刑執行。

どこで薦められていたかは忘れた。早いうちに読まねばと思っていた。
厚かったが一気に読ませた。またノンフィクション作家の力を知る。
→《第3回衿賞