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絵のある自伝 安野光雅 [よんでみました]

絵のある自伝 (文春文庫)

絵のある自伝 (文春文庫)

  • 作者: 光雅, 安野
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/05/09
  • メディア: 文庫

日曜朝8時から「日曜美術館」を観た。何年も前にみたことのある内容だった。が、また次の日曜夜の再々放送も録画して観なおした・笑。

安野さんは大正最後の生まれだったのですね(もうご存命の大正時代の方は少ないですね)。
この本には幼い頃のお友だちから有名な方までたくさんの名前が登場。よく覚えていらっしゃることに感心と同時に、瀬戸内寂聴さんではないが、同じ年代のみなさんがほぼ亡くなられていることも(今から10年前の2011年初版だが)エピソードとして書きやすいのでは?と。

書き出したらきりがない。一読せよ、だ。ご本人の人柄そのままがきっと出ている自伝。
格好はつけない、正直。誰にでも変わらない態度。
司馬遼太郎さんがそういう方だったとしみじみ書かれているが(上下の隔てをしなかった)、安野さんもそういう側の人だったと思う。

高峰秀子さん岸田衿子さん等の名も出てきた。次第に出版社から追悼文を頼まれることが多くなる。長く生きていると仕方ないのだろうが。
教員どうしだった見合い結婚のことなど、本書で初めて触れたと思う。だからこそ必見☆
《ウィットにとんだ安野さん自作の某年年賀状にも注目・私は大好きだ、こういうの!》

旅の絵本』については、先日少し書いた。今回、私の持っていない後半の2冊も拝見した。
これは文字がない絵本。ということは、音楽♪と一緒で世界の誰もが平等に感じることができる。どう受け取るかは千差万別、自由。それが大切なことだと思う。小さく描かれている馬に乗った男は、うまいことその国の四季おりおりを体験しながら旅していく

【絵から教訓を見つけるのは自由である。むかし文字の通じないころはそういう絵もあった。ただし教訓のある絵のほうがいいということはない。】
深い。淡々と特別なことがなく流れていく物語がもっとあっていい。教訓ナシで~。
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(…話はズレるかもしれないが、私自身は最近、妙にLGBT等をドラマ・映画に「意識的に入れる」傾向が嫌いだ。自然な日常に、それを流れるように置いている作品は好き。
「教訓」をあからさまに埋め込む作品は、絵本でも小説でも映像でも支持はされないと思う。表現者としても上手くない。もっと生活的で自由な土台の上にすべて育っていくと考える。)