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女に選ばれる男たち-男社会を変える [安積遊歩さん]

女に選ばれる男たち―男社会を変える

女に選ばれる男たち―男社会を変える

  • 作者: 安積 遊歩
  • 出版社/メーカー: 太郎次郎社
  • 発売日: 2001/09
  • メディア: 単行本

安積遊歩さん(1956年生まれ・骨形成不全症)と、TVなどで発言も多い辛淑玉さん(しん・すご:在日コリアン3世・1959年生まれ)の対談集。それぞれの共同生活者であるパートナーの男性も発言←これもまたよかった(1972年生まれと1969年生まれ)。なかなか有益な一冊でした。

【~遊歩はパートナーとしてやっていくにはあまりにも面白い人だと思ったからですね。ぼくがいちばん惚れたところは、遊歩がどんな場面でもハッキリものを言って、人生をまるごと生きている姿です。~ぼくは自分の中途半端さがいやだったし、ほんとうに大事なことをこの人生でやりたいという衝動がいつもあったから、そのためには遊歩のそばで学びつづける関係がいちばんいいだろうと思ったんです。~ぼくはそのとき大学の4年生で、身の振り方を考えなきゃいけなかったんだけど~おかげで会社に就職することは免れたけど、遊歩のところへ「就職」してエラいことになりました・笑。仕事で子どもにかかわりたいと思っていたら、子どももできてましたし・笑。】

【辛:世の中の男って、ちょっとやっただけでほめられるじゃない。あれがダメね。「うちはゴミ出ししてますよ」とか、そんなのあたりまえじゃんって思うんだけど。女がやってもけっしてほめられないことを、男がやるとほめられる状況がえんえんと続いているから。】
男性は、家のことを一切やらないでよい、というように育てられていることが多々あると。
『お母さん一人が忙しく動きまわって、お父さんは座ってるだけ』というのは悪しき風習。
今の若い人は性別役割みたいなものから、サラリとフリーになろうとしているかもしれない、と。
【辛:~男がちょっと「介護のために会社を休みます」って言うと、美談になるんだよな。その何百倍の数の女たちが、休むどころか、退職までして、それをやっているんだと思うけどさ。】
【辛:「女房が稼ぐからといって、オレが家の仕事をやるのか」っていう“男の沽券”。】
女性の方が働くのに適しているのなら、もちろんそれでいいのだし、その分、家のことをやったり、妻の働きやすいようフォローしているパートナーがもっともっと自然にたくさんいて普通、と私も常々思ってきた。そういうふうに、しなやかに考えられる男性がたくさんいていい。

辛さんは、体を壊し、手術も経験した。
【(辛さんはパートナーに自分の体の状態を説明。)「いちばん大事なのはあなたの身体だから、あなたが将来産みたいというなら、産むための努力をいっしょにしましょう」って言うの。「でも、あなたの身体が大変で、いろいろ生きていくのがしんどいって言うんだったら、(子宮を)取る決断をしましょう。子どもがいなくても豊かな生活はできるから」って言ってくれたんだよね。若いのに、おまえ、ようできたな、って感じで・笑。つまり、決定を家のためとか家族のなんとかじゃなくて、私がどうしたいのかっていうことを、いちばんのスタンスにしてくれたので私は助かったよね。私は、子どもは好きだし、ほしかったけど、「自分の産んだ子どもだけが子どもだ」という認識は少なかったのね。現実に面倒みている子もいたし。産まなくても、大人としてやるべきことがあるだろうとも思っていた。】
その通りだと思う。年下のパートナーもまっとうにまず彼女の体を案じ、そして深い包容力があった。
辛さんは在日であることで受けてきた差別などについてもいろいろと述べている(すみません、ここでは略)。

【遊歩さんパートナー:最近、男性の自殺率が上がっているじゃないですか。リストラされて家族に打ち明けられなくて自殺したりとか、自営業で経営に行き詰まって一人で悩んで自殺する男たちがいますよね。子どもでもいじめられて、だれにも相談できずに自殺する多くは男の子。そうやって男はひとり抱え込んで自殺していく。男は黙ってナントカの「男らしさ」の呪縛が働いていますね。誰かに話すとかぶちまけるという安全弁がない。「苦しいよ、助けて」ということを言えない男のモードがあると思うんですね。このモードを変えてゆかなくちゃいけない。】
2001年の刊行。だいぶ経ち、世の中の男女差はその頃より薄くなってきてはいるかも!?
私は女だからか、男性特有の、このような背負い込みを真にわかってないかもしれない。でも、もうそういうのはなし。男だから、女だから、はない。日本人であるとかないとか、障害があるからないからではなく、ひとりひとりの違う人間として、思うことを発言できる社会でなくては…だろう。

知ってはいたが、この女性2人は言い澱むことのないタイプ(人間として一本通り、たしかに強い!)。このような人を素晴らしいと選ぶのは、なぜか年下のパートナーが多いですね。年齢は関係ないといいたいけれど、同世代や上の男性ではなかなかついていけない、っていうのもありますかねぇ。。。
…認識を変えさせられた一冊でもありました。出会えてよかった。
《マイカテゴリーに安積遊歩さんをつくりました。》
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