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傘のさし方がわからない [よんでみました]

傘のさし方がわからない

傘のさし方がわからない

  • 作者: 岸田 奈美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2021/10/15
  • メディア: 単行本

noteに書かれていた文章も含まれていると思われ、「ああこれは読んだ~」もありました。が、あらためて縦書きの本で読むと、また響きます。
たて続けに読了。
【まだ幼稚園に通っていたときのことである。~母が障害のある弟ばかりを気にかけていたことに腹を立て、自分が道で転んだのをきっかけに泣いてうったえた。おどろいた母は「ごめんね」と何度もわたしに謝り、手をつないで歩いてくれた。次の日も、その次の日も。】
そうだよな。自分に注目がいかないきょうだいの、こういう幼い思いはきっとあるはず。

弟さんの解読できない文(ここでは「怪文書」とある)の判明の話。これはあるある、です。我が家もAyuの日記に見られる文章や発言の中に「?」があり、数日後に謎が解けてスッキリすること多々。
「ひとりで美容院に行けるようになった」は、すごいな。

お父さまの最期の主治医への著者の誤解(といっていいかな…)、『寿司屋でスマホが割れていたから』のエピソードは読ませた。

「岸田さんは2か月単位で、興味があること、あきることが変わるからね」(by出版社の人)は、最初から私は誉め言葉とみました。『世間の微妙な感情の変化を読み取り、即座にマスコミにもちかける』は、いかにも今をときめく直感を生かした仕事、ですよね。
大学時代から既に所属して働いており、会社員としてうまくいかず心身を崩した時代もあったそうです。本来、デリケートな方だと思う。フリーの作家に転身、はまちがいなくよかった。
【できるだけ、長所が照らされる場所にいたい。わたしはそう願っている。】

大好きな父親が急死、その後車いすユーザーとなった母と、ダウン症の弟と。
考えることが人一倍多かった10代、20代だったと思います。今は堂々と文才で食べていける。彼女の文体に惹かれる人たちがたくさん存在する。ただ、そういうことだと思います。
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