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最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく [我が家の介護いろいろ&認知症関連]

最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく (単行本)

最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく (単行本)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/06/09
  • メディア: 単行本

上野さんがこの10年間に10人と対談した「おひとりさまの生き方」。『婦人公論』連載を中心に加筆修正。これもなかなか読ませた。
澤地久枝、橋田壽賀子、桐島洋子、稲垣えみ子、香山リカ、荻原博子などと語り合う。

【(上野)~やるだけのことをやったから命に未練がない。橋田さんも澤地さんと同じく戦中派なので「命は拾いもの」感がおありです。~もう十分に生きたと~。】
その後、橋田さんは急性リンパ腫と診断、入院しましたが、ご本人の希望で熱海の自宅に戻り、仲間に囲まれて最期を迎えたとありました。享年95歳。

【(上野)~私は人生の撤退戦の最中ですからね。物欲もなくなって(略)人はわずかなもので過ごせるのものだと、しみじみ感じています。】

【(桐島)人生、持ち回りですからね。それが、家族だと思います。】
「子どもの世話にはなりたくない」「迷惑をかけたくない」という高齢者が多い中、桐島さんも上野さんも老後は子どもにほどほどの迷惑をかけてよい、というスタンスです。
【(上野)私は基本、在宅派です。介護保険のおかげで、家にケアに来てもらうという選択肢ができましたから、家から出ていく理由は何もないと思っています。】

稲垣さんのお母さまは認知症になって3年後にお風呂で溺れ、退院することなく80歳で亡くなったとのこと。ご自身の既刊に詳しく触れていなかった部分と思う。
【(稲垣)やりたいことを諦めず(略)ではなく、やりたいこと、欲を徐々に少なくして、下り坂であっても何とか前向きに下りていきたいなって。】
【(上野)~ヘルパーさんから「ここ(某施設)にはお年寄りの徘徊はありません。お散歩があるだけです」と聞きました。周囲が見守っているんです。】

上野さんのご自身の備えはすごい。さすが。
→専門医に行き、MRIの画像を撮って脳の状態をカルテに残し、平常の状態を把握。訪問医、訪問看護ステーション、訪問介護事業所と相談し「おひとりさまプラン」という商品を作ってもらった。年間契約で定額を払い、自宅の様子を見てもらえ、鍵も預けている。遺言執行人も指名~。

「老後」がいつ始まるか。それは、自分の親が死んだ時です。~親を看取るという大仕事をしないと、自分の次のことは考えられない。そういう人も、少なくないと思います。】

【おひとりさまライフのセキュリティとセーフティネットを考えるなら、自宅の合鍵を預ける人間関係を作っておくべきです。~(財産持ちというより)ぜひ「人持ち」になっていただきたい。】

【~ひとり暮らしは「不便だけど不幸ではない」。不便は解消できます。自分で料理ができなくなれば、配食サービスを利用すればいい。~自宅で暮らしていれば、ストレスがない分、「機嫌よく」過ごせるんですね。】

なんとしても介護保険制度を守らなくてはいけません、と。
「介護保険の後退を絶対にゆるさない!」が上野さんの叫びだそうです。

…私自身も一昨年に見送った父は介護保険なしでは過ごせませんでした。特に、お互い高齢となった連れあいによる「老々介護」の負担を軽くする意味も大きいと思います。

最後は女性がおひとりさまとなる確率が高い。でも元気なうちに上野さんのように完璧な準備を済ませられる方はごく一部かと。
それにしても「自宅で最期まで暮らせる方法がありますよ~!」を今後も示してくれるのは大変ありがたいし、心強いことです☆