SSブログ

上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください [我が家の介護いろいろ&認知症関連]


「よんでみました」ですが、このカテゴリーに入れました。
説明するまでもないおふたり。1948年生まれの上野千鶴子さんと、1985年生まれの古市憲寿さんが会話。もっと早く読むつもりでしたが、元旦のラジオでの上野さんの出演もあり(おもしろかった!)、ようやく読破(後半はさーっと急ぎ読みでしたが)。

双方とも歯に衣着せぬ話しぶり、気持ちよい。
私は父を通じて介護保険を利用した経験があったからこそ頷けた内容だったと思います。そのしくみの変遷、そしてこれからの若者問題まで及んでいました。

【古市:(親の老いについて)ふとした瞬間に昔に比べて老けたなあ、って感じることが多くなったんです。~話すスピードが遅くなったとか、携帯の使い方がいまいち理解できていない、とか~「昔はそれくらいできたよね」ということが徐々にできなくなっている。】

【上野:老化にともなう病気って、治っても元どおりにはならないのよ。慢性疾患になって、低位で安定するってこと。障害残して生き残っちゃうのよ。長寿化ってそういうことだから。誰もが中途障害者になるのよ。】

【上野:~死因の中でどれが一番いいかっていうと、意外かもしれないけれど、ガン死ね。ガン死は死の直前まで活動性が高く、意識は明晰で、寝たきり状態が短期間。つまり一番つらいところは短期決戦ですむ。】
肉体が徐々に衰えて(認知が伴うこと大)迎える死より、それは本人の望む形になるのかも。そう考えると、無理な手術や治療を選ばない上での、受け入れたガン死も悪くないと知りました。

【上野:~かつて強かった親が気弱になって、「すまないね」「ありがとう」をくり返すのに耐えられない、という子どももいる。】
私、母に対してはまさにこれなのです。衰えを情けなく思い(高齢だからしょうがないのに)、負に巻き込んでくる母が許せない。年相応を受容して少しは明るく展望できないのかと
頭ではわかっているのですが。

【上野:(介護保険は)1997年に国会で成立し、2000年に施行されました。】

【上野:~それ(在宅自然死)を支えようとする医療者がいる。~患者に急変が起きても、119番するより前に、在宅医に連絡するという合意を家族から取り付けてる。~(119番をしたら)もう延命措置が自動的に始まっちゃうからね。】

【上野:~私の世代には非婚おひとりさまは2%ぐらいだけど、後続部隊がぞくぞく増えた。それだけじゃなくて、既婚者もやがて離別や死別でおひとりさまになっていくという予想があるからこそ、おひとりさまのライフスタイルが徐々に支持を得ていっている。】

あとがきに代えて。上野さん。
【わたしは子どもを産みませんでしたが、教師として多くの若者と接してきました。~】

例のラジオでは、たびたび伊藤比呂美さんも『教えてきた学生たちは、私の子どもよ』と言っている。
本題とはズレるが、(実子がいたとしても)教育してきた学生は次の世代を継ぐ自分の子どもたち~には違いないということよね。

年齢の大きく違う者同士が、質問して、説明して、遠慮なくバトルする。
予想以上に私には濃い本でした《2011年刊なのでまた最新の対談をみたいものです》。