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老後とピアノ [稲垣えみ子さん]

老後とピアノ

老後とピアノ

  • 作者: 稲垣 えみ子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2022/01/19
  • メディア: 単行本

今回は(笑)よかったです。
あらためて本書の著者紹介文より。
【~夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なしの「楽しく閉じて行く生活」を模索中。~】

【何しろ大学を出てこのかた、自分の時間もエネルギーも会社に吸い取られるがままに生きてきた。~倒れるまで当然という空気の中で、競争から振り落とされまいと必死だった。要するにずっと、「やりたくてもできないこと」をたくさん抱えて生きてきたのです。】
【何しろ目標がなければ挫折もない。急がなければ諦めることもない。少なくともやることだけは山のようにある。そして美しい曲はちゃんと目の前にある。どこへも逃げていかない。】

稲垣さんはピアノを自宅に持っていない。運よく「弾いていいよ」という場所に恵まれた。
【~(40年ぶりに)ピアノを再開したいと思っていたら目の前に偶然ピアノが現れるなんて、こんなことは人生でそうそう起きるもんじゃない。~四の五の言わずに「ヨッシャ!」と飛びつくところでしょうよ、どう考えても。人生は長いようで長くない。そしてチャンスの後ろ髪は短いのである。】
50代にそれほど先はない。ましてや永遠の健康寿命は保障されない。

【私のピアノが安いオルゴールなら、先生のピアノはニューヨークフィルであった。】
Ayuにピアノを習わせ始めた時、先生がすぐそばで弾いてくれたピアノの音色に、親の私は涙が出そうだったことを思い出す。「すごすぎるお手本」、これを近くで聴けるだけで儲けもの。

【~いや、まずは目の前の曲を自分なりに弾けるところまで頑張ろう。そうしたらその先に何かがあるかもしれないし、ないかもしれない。まあ生きるってそういうことですよね。】

子どもの数そのものが減っているので、ピアノの習い手は中高年が主流になりつつあるのだそうです。昔のように怖い先生、という先入観は捨てていいそうな。

【「力を抜く」とはなんとなんと難しいことか! 力を入れるより何倍も何十倍も困難すぎる世界だったのだ。】
【~自分がよく見られたいという気持ちを消すこと。】
何事も、これ理想ね。しなやかに力まずに行うこと。

【コンビニに行き、A4の楽譜をB4に拡大。~そうしたらですね。まさに楽になったのだ譜読みが! たったそれだけのことで!】
老眼は恐ろしい。物事には案外、ばかばかしいほど単純で簡単な解決法がある、と。

【~だっていくつになっても「やればできる」のなら、老いなど何を恐れることがあろうか。要はやるかやらないかだけなのだから。】
【ピアノを練習するとは、「結果を出して世間に認められる」~とは全然別のことなのであった。成功も失敗もない。上も下もない。どんなに凡庸な人間でも、自分の心の中のどこかに隠れていた美しいものに、自分の手で火をつけることができる。】

『野望を持たず、今を楽しむ』…若者は目標を高く持ち、そこに向かって進んでいけばよし。でも老人は違う。遠くに目標は持たず、今目の前にあるミクロのことに全力をかける。~そこに思いもよらない美しいものが現れるのである。それをただただ楽しめば良いのではないだろうか。】
今が、誰の目も気にせず自分のペースで楽しめる時なのだ。

稲垣さんの一番弾きたかった曲は、ドビュッシーの「月の光」で、今ではお得意のよう。うらやましい限り。逃げ腰だった「大人のピアノ発表会」にも挑戦されました。

…実は私も8年以上ぶりに「ウクレレ、出してきました。思い出すという段階になく、初心者と同じスタートです。今はYouTubeというありがたいばかりのツールがあります。すべては己の努力次第☆
チューニングメーター、「ON」にしたら長ーいブランクにかかわらず作動してくれました♪
ピアノのように大げさでなく、ギターより小さく、すぐ手にとれる手軽さを再認識。
階下に音が響くことも気にしなくてよい日常になりました。継続できるかは??・汗。