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84歳の母さんがぼくに教えてくれた大事なこと [よんでみました]

84歳の母さんがぼくに教えてくれた大事なこと

84歳の母さんがぼくに教えてくれた大事なこと

  • 作者: 辻 仁成
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: 単行本

今まで著者の小説作品を読んだことはないが、ブログに載っている息子への色鮮やかな料理にはびっくりしていた。
どこかの番組で、この方のお母さまの話があったようで手にとる。
息子への愛、そして食事に手を抜かない…は、この母に育てられたからこそ、がわかった。
読みやすい一冊。流れも非常によい。
母親の代わりに彼女の人生をまとめながら、自身への影響をさりげなく記す。

父親の仕事の関係で、南から北への転勤が多くあった。
幼き頃からの、親子それぞれの辛かったこと、嬉しかったことを読者の共感をうまく獲得しながら綴る。

【(福岡時代)~はじめて血のつながっていない人に怒られたので、逆にぼくはその人を信じることができた。】
【花嫁修業しかすることのなかった時代、母さんはその逆境の中で、その与えられた道具を最大限利用して、自分の発信の場所を作っていた。】
【(母)いいじゃない。どんどんやりなさい。こんな経験、私もしたかった。】
やりたいことを肯定してくれる存在。チャンスは逃すな、と。

【今ぼくはフランスで暮らしている。この国のおなじみの標語は「自由、平等、博愛」である。ぼくは少なくともこの3つを母さんから教え込まれてきた。だからか、その結果、ぼくはフランスにたどり着いたのじゃないだろうか。】
【昔に比べるとおばあちゃんになったし、手術のせいもあるのか物忘れも酷い、それでもまだ背筋は伸びているし、気合いは十分だ。】
一読あれ、です。