向田邦子全集 新版 3・4 [向田邦子と妹・和子]
『隣りの女』、『男どき女どき 小説』。
収録はいずれも「大人の作品」である。当時は、過激でもあったでしょう。
「隣りの女」の“女の行動力”、そして夫の“寛容力”…。「春が来た」も印象的。
『寺内貫太郎一家』、TVのドタバタ風景をちらと知っていたのが邪魔をして、作品もTVもどちらもちゃんと見てこなかった。
が、よかった~☆ この家族の姿が一見単純に見えるけれど深い。しみとおっている。あの「貫太郎」もいとおしいです。
お手伝いのミヨ(浅田美代子、ですね)。
【「旦那さん、謝るのなんか止めて下さい!あたし、旦那さんが謝るのなんて、見るの嫌です。旦那さんは、やっぱり威張っているほうが似合ってます」】
貫太郎の娘・静江は、男児を持つ男性と付き合っている。その男の子が帰ったあと、貫太郎のお尻の下からビー玉が出てきたシーンは向田さんさすがと思う。
【貫太郎は、女たちの手仕事を見るのが大好きである。冬のかき餅作り、白菜漬け。春の草餅に酒ずし、お彼岸のおはぎ。初夏のらっきょうと梅干。秋のたくあん。そして年の瀬の正月支度。その度に、仕事場から用ありげにやってきて、すしの具をつまんだりしながら見物する。「男はあっちへ行っとくれ」と邪魔にされるのだが-これが貫太郎の「四季」なのだ。】
小林亜星さんや姑役の樹木希林さんがちらつきながらも、確実に涙を誘う場面が何度もありました。秀作。
2010-02-27 15:00
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