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影裏 [よんでみました]

影裏

影裏

  • 作者: 沼田 真佑
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 単行本

第157回芥川賞受賞作。芥川賞、いつも私には合わないとわかっていつつ、とりあえず。1978年生まれ。本作でデビュー。
すぐ読み終わってしまう量なのだが、とにかく巻頭からすーっとは入っていけない。まずは読み進めようとするが、途中で「?」がいくつも出てくる。一番は、どこに重きを置いて読んでいけばいいのかわかりずらいところにある。それも手法? 後半にいき、一気に展開する。そして、もう一度、読み返す。

この感覚は間違っていなかった。他者のレビューを見ると、やはりページを戻った人が多いのだ。そして、評価する人と、そうでない人に分かれている。

私は、たしかにこの物語の中にある2つの点について、ひとつは不要と思う派である(詳細は書けませんが)。しかし、もう1点の肝心な点については、こういう見方もあるのだ、これはありなのだと思った。
受賞の際、震災の地を絡ませていると聞いたので、いつそこが出てくるのか…はあった。最初からもってこないのはうまいと感じた。想像する被災者の話、と思ってはいけない。

【日浅はどうも、時代を間違えて生まれたように見えるのだ。江戸中期にでも生まれていたらと、よく勝手に空想したものだ。】
こういう人は、いるのだと思う。これから読む人は、この友人『日浅』に注目して読んでいけばよい(それがわからなかったのだ)。

【岩手へ出向するよう告げられたときには心底ほっとした。受け取った辞令はあたかもより魅力的な生へのビザか何かのように、眩しく頼もしく映った。】
こういう瞬間が誰にもあるのではないか。うまく乗っかった、引っ越しの転機というような。

この物語については、わからないことがいくつもある(いったい生きているのか、死んでいるのか?)。あえて読者の想像にまかせている? あるいは、彼には別の深い理由があるのでは。いや、まったくの見当違いか。作家本人に聞きたい。

「よかった☆」との人は、同じことを言っている。私も。→『次の作品を読んでみたい(そして期待)。』 その時に判断…という作です。
読みにくかったけど、その世界観は嫌いではない。どちらかといえば高評価です。
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