ヴィヨンの妻 [太宰治と家族たち]
短編6つを収録。そのうち、表題作の「ヴィヨンの妻」と「桜桃」には障害を持った長男らしい表記があると先日知ったので、先に目を通す。たしかにあり。
ヴィヨンの妻、救いようのないダンナなのだけれど、妻の行動がなんとも、である。この作品通じて“なんとも”なのだが、捨てがたい何かが漂っている。
「桜桃」は『子供より親が大事、と思いたい』ではじまり、終わる。
その他では、「トカトントン」がリズムがあってよかった。リズム、大事。
これに、鉛筆の書き込みがある。私が夜間短大時代のゼミで使っていた新潮文庫だから。
でも、全然と言っていいほど「トカトントン」を覚えていない。昭和の最後ぐらいのことである。
たしかにだいぶ前だが、ページ全体の焼けがひどく(管理状態が悪かった?)、クンクンと嗅いでしまう《私は古書のかびくさい匂いがたまらなく好き》。
2012-08-05 15:00
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