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そのノブは心の扉 [よんでみました]

そのノブは心の扉 (文春文庫)

そのノブは心の扉 (文春文庫)

  • 作者: 劇団ひとり
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/06/10
  • メディア: 文庫

【「身長が10センチになるのと、10メートルになるのと、どっちがいい?」】
というようなコトがしばしば語られます。著者独特の思考、です。おもしろいにはおもしろいのですが、つくづく難しい人なんだなと思いました。私と比べるのもなんですが、自分がいかに単純に生きているかを感じました。
このエッセイ、車内でひとり笑いそうになったのは『催眠療法』『脳分析』でした。よろしかったらどうぞ。
『怒り』にあった、【~歩道いっぱいに広がってダラダラと歩く高校生~】、私も同感(高校生に限らず)。それを撃退する方法が、またこの人らしい。“納得した、自分が有利になるやり方”しか認めないのです。そのために、どんなに頭を使っているか。
書いていることすべてが本当でないにしても、ずいぶんと余計なことで脳を使っていて、もったいないのでは。でも、稀な才能ある物語も生んでいるのですから、これでいいのかな。
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たったこれだけの家族ー河野裕子(かわのゆうこ)エッセイコレクション 1 [河野裕子(かわの・ゆうこ)さんと家族]

たったこれだけの家族―河野裕子エッセイ・コレクション (河野裕子エッセイ・コレクション 1)

たったこれだけの家族―河野裕子エッセイ・コレクション (河野裕子エッセイ・コレクション 1)

  • 作者: 河野 裕子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/07/10
  • メディア: 単行本

私も、亡くなってから方々の記事で知った歌人だ。1946年生まれ。高校生の時代から、朝日歌壇に投稿している。エッセイは、予想に反し、85年頃から家族4人、ワシントン近くで暮らしていた文章が中心。京都新聞にアメリカから連載していた。息子さんのことが多く語られている。
【さて、授業が始まると、いよいよみんなよくしゃべること。だれかが発言するたびに、すかさずシャレが飛び、合いの手が入り、まぜっ返す者がある。】
日本の学校の授業ではこんなことないのだろう。こういうのが本当の授業だと思う。
…短いエッセイの集まり、様子が目に浮かびやすい。きどっていなくて、それでいて流れる文体。
【日本に居ても人並みより背の低い私。(~アメリカの生活で)様ざまな人種の人間が混沌と暮らしている中では、お互いの身体的差異は圧倒的だった。細かいことにこだわっている暇はない。~小さな身体は、くっきりと、これはこれで私のもの、という「私」としての個を感じてもいた。】
アメリカに、憧れるのはこういうところだ。見た目にもいろいろな人がいるから、小さいことにいちいちかまってはいられない。いい意味でも悪い意味でもやはり自由な国、、、。

【子供時代が終わり、少女期が過ぎ、大人になってからも、ずっと私はひとり遊びの世界の住人だった。何かひとつのことに熱中し、心の力を傾けていないと、自分が不安で落ち着かなかった。~歌作りの現場は、意志と体力と集中力が勝負である。~しかし一首のために幾晩徹夜して励んだとしても、よそ目には遊びとしか見えないだろう。然り、と私は答えよう。一見役に立たないもの、無駄なもの、何でもないものの中に価値を見つけ出しそれに熱中する。ひとり遊びの本領である。】

子がわれかわれが子なのかわからぬまで子を抱き湯に入り子を抱き眠る
ふたりのお子さんは、もうりっぱな大人になられ(長女「紅」(こう)さんの名前がまたステキ)、お孫さんのひとりが河野さんの死のあと、歌をつくりはじめたそうだ(あとがきは夫による)。
図書館予約はだいぶ待った。手元に同じようにようやく来た他書に追われ(まだまだこの本も待っている人がいる)、急いで読んだが、出会えてよかった。さわやかな余韻が残っている。
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