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死に方が知りたくて [稲垣えみ子さん]

死に方が知りたくて

死に方が知りたくて

  • 作者: 稲垣 えみ子
  • 出版社/メーカー: PARCO出版
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: 単行本

2017年秋に読む
朝日新聞大阪本社編、聞き手が稲垣えみ子さん。
1994年5月~95年6月(その間に阪神大震災が起こる)、朝日新聞大阪本社発行の夕刊に連載。
癌にかかった外科医から、大槻ケンジ、西本聖、佐藤愛子、田嶋陽子、古舘伊知郎、そして市井の人(日航機事故で夫を亡くした人など)まで26名にインタビュー。

◎布施徳馬(外科医)
【ソクラテスだったでしょうか。人生は宴会のようなもので、一通りフルコースをすませたら頃合いを見計らって宴席を立つのがよい。まだ何か出そうだといった顔つきでいつまでも座っているのは見苦しいという言葉があります。
病状が悪化するばかりで、痛みにさいなまれて生きていることの楽しみがほとんどないようなことになれば、自分を始末した方がいいと思う。~尊厳死、ホスピスのことも身にしみて考えるようになりました。】

◎結婚式の司会から葬儀の司会へと転身した人
【~セールスがものをいう時代になりました。葬儀社のセールスというのはいろいろな方法があるが、病院が大きい比重を占めるようになってきています。
~遺族がまだ動転している間に業者がひととおりの体裁を整えてしまいますから、途中から別の業者に注文する人はなかなかいません。←家で人は死にたいもの。】

◎元特攻隊員
【戦友から贈られた明解国語辞典(S18年初版)。「おれはもういらんから。先に死ぬから」と。以来座右の書。30年近く経って『帰還』という言葉のところが丸く囲ってあるのに気づいた。】

◎大槻ケンジ
【諸行無常という仏教的考え。すべてのものは形を変えて流れてしまうものだ。人を愛するとか求めるとか、そういう感情すらも諸行無常の範疇なのだ。】

◎佐藤愛子
【70を過ぎると、もうちょっとやそっとのことでは驚かないというか、人は楽しむために生まれてきたんじゃない、修行のために生まれてきたんだと思うようになりましたよ。そう思うと何が来ても落ち着いていられる。安らかな老後っていうのは、物質的な安泰だけじゃありませんからね。
ごちそうも食べたくなくなりましたね。自分でつくったものがいちばんおいしい。お手伝いさんが4時に帰ったあと自分でつくるんですけど、一汁二菜程度のものです。それ以上はつくっても食べられない。】
→つまりは人間、 欲があるうちはその欲を実行していきたいもの!!
【自分としてはいい線いっていると思うんです。生活の風通しがよくなったというか、どうしてもこうでなきゃいやだ、ということがなくなって。それに、欲望や執着を残して死ぬのはきついし、つらいですから。死を安らかに受け入れる精神状態で死にたいんですよ。】

◎普賢岳の被害にあった方
【~だからこの噴火でも、いろいろなつらさはあったけど、とにかくそれが自然なんだっていうか、地球は生きてるなーと思うんですよ。】

…長くなりました。稲垣さんは、引き出し方もやっぱり上手なのだと(記者+人間的に)あらためて。