SSブログ

今日も一日、楽しかった [よんでみました]

今日も一日、楽しかった    ダウン症のイケメン・あべけん太

今日も一日、楽しかった ダウン症のイケメン・あべけん太

  • 作者: あべけん太
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2017/09/20
  • メディア: 単行本

「ダウン症のイケメン」とありますね・笑。
あべけん太さんは、1987年東京都生まれ。私はEテレ『バリバラ』を定期的に視聴していないので、実はよく知りません。でも、どちらかでちらと、ごく最近お母さまを亡くされたこと、しかし元気に日常を送っているシーンを見ました。「お涙もの」にしていないところがよいと感じました。
今回の出版も、文章をフォロー&整理してくれている編集者がいることはもちろん承知。
それにしても我が娘のAyuより5歳上で、人並みにできないこと&困難もあるだろうけれど、これだけ人生をごく普通に楽しんでいる姿は、おそらくみながうらやましいと~。

最初にびっくりしたのは紹介プロフィールにあった「普通自動車免許取得」の事実。仮免はすぐに受かったそうです(スゴイ)。問題は学科試験(そうよねー)。55回にしてようやく。
その後、監督のもと公道を走ってみたが、怖くて今はしていない。それでOK。挑戦したことに意味あり、ですよね。

3人姉弟の末っ子。2011年に突然、ゴルフ場でのカート事故でお母さまを失った。それからは父親と2人暮らし。お父さまの海外出張の際は、コンビニの西京焼を買ってきてごはんと食べたとありました。こういう生活力(自活力)よね、身につけたいのは。
お姉さんが比較的近くに住み、お兄さん同様、もう家庭を持ち、子どももいる。けん太さんにはたくさんの甥・姪がいて、一緒にグアム旅行にも行く。お姉さんの旦那さんとは大好きな野球観戦にも。こういうたくさんの人間(家族)にもまれた、自然な環境がいいですねぇ。

今のお仕事(現在30歳)は、11社の面接失敗を経て、IT企業の契約社員(時給制・半年更新)。その間をぬって、TV出演したり、時には講演活動したり(「ダウンアップ」というタレント活動のための事務所を作り、本業ボクサーであるお兄さんが社長~)。
絵が上手、カラオケも好き、ビールも飲む。レスリングやボクシングを楽しみ、ダイエット&発散しているのはとてもいい。

厚労省で「日本ダウン症会議」の記者会見があって、「家族構成は?」の質問に「子どもが9人です」とこたえてしまったそうで、それは姉・兄の子どもの人数を合わせたりしてそうなった。そんなことで偶然にもトークがウケることが、とても愉快なけん太さん。タレント気質でしょうか・笑。

ダウン症も千差万別。言い方はよくないかもしれませんが、重い軽いもあるし(ダウン症には主流の「21トリソミー」のほか、比較的症状が軽い「モザイク型」などがあります・けん太さんはAyuと同じ主流派・笑)、もちろん元々の性格もある。だけれど、共通項もたしかにあると思います。
『ルーティンは守りたい』=いつも通りにしていたい。それがすべての安定。乱れると精神的に崩れる(そしてだからこそ、時々は「非日常」のことをさせて適応能力をつけていきたいと私は思う)。
《でもこれ、私が思うにダウン症に限らず、一般的にもよくある性分の1つの人で、ワンパターンに正確に過ごしたい人は実は多いと私はみる。》
ある時から『日記をつける』習慣あり。これも、いつもの決まりごとの1つなので、続けていることでバランスをとっているのでしょう。

けん太さん、「漢字(及び理解)」は、Ayuと比べるとずっと素晴らしく出来る。「漢字」がごく自然に使えるということは、実はスゴイと我が子を通じて感じてきました。まず「模写」ということ。ただ「真似をして書き写す」、一見単純作業なことが、とても脳を複雑に使うのですね。『あー、Ayuにはそれは難しいのだ』と痛切に感じたことがありました。今も決まった言葉しか文章に漢字は混ざりません(例えば「休みました」等の簡単なもの)。一生懸命おしえようと思った時もありましたが、漢字って学校でおそわる以前に、普通は日常生活で知って自然と書けるもの・増えていくものなのですね。
そう考え、私はいつかから、「書けなくてもAyuには読める漢字は多い」ので、それで日常が楽しめていれば、書ける漢字が増えることにこだわらないわーとなりました。
…それでよかったかはわかりません。でも、強制するより楽しむことを優先に。ひらがな・カタカナは自由に操れるので(これは確実に、基礎を小学校の支援学級で指導してくれた賜物・でも今、ちょっと前に流行った「うんこドリル」はやさしいのからやらせてみようかなと思ったりしてマス)。

TV出演ではディレクターの方に恵まれたようで「僕の話を丁寧に聞いてくれます」とありました。これは大切なことですね。ゆっくり接してくれれば、双方にストレスがなく進むでしょう。

この本には、ご家族の方のコメントはほとんど挟まれていませんが(そこがいいところ☆)、途中にちらとあったお父さまの一言を最後に。
『~歩けたり、話せたりするようになるには時間がかかりました。人が10で覚えるところは100かかる。でも100かければ、できるのです。ケアは必要だけれど、私も妻も特別な育て方はしませんでした。』
nice!(0) 

nice! 0