雁 [向田邦子と妹・和子]
このあとがきで、「向田さんは『雁』のお玉が好きだった」と久世氏が書いていたのね。森鷗外を読んだのなんて、教科書以来だったのではなかろうか。
すーっと入っていきました。思っていたより鷗外は読みやすいのだろうと。
「窓の女」お玉、ね。向田さんは、「はめ殺し窓」など、『窓枠』からのイメージ(じーっとそこから眺めている女? その女を外から見る男?)そのものが好きだったのかも。この作品にヒントを得ていたのかも知れない。
文章構成が興味深い。第三者的に男性も数名出てくる。しかし、誰一人、お玉の気持ちに寄り添った者はいなかったということ。そういう時代だった、もあるだろう。お玉を囲う末造の心情、おもしろかった。
このあたりの古い作家の文庫本、活字が大きくきれいになって読みやすくなっているし、そろそろそういうのも手あたり次第にいくか、な。
2015-05-28 20:00
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