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日本のゴーギャン 田中一村伝 [田中一村を訪ねて・奄美大島へ]

日本のゴーギャン 田中一村伝 (小学館文庫)

日本のゴーギャン 田中一村伝 (小学館文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 文庫

奄美の一村美術館で購入し、読むのが今になった。読了し、ますます一村が魅力的になった。
一村は、絵の才能はあっても、最後まで裕福にはほど遠かった。勤め人にならず、商業画家にもならず。
満足のいく絵を生み出すために、紬職人として5年働いて、3年間絵だけを描き…などだった。
【この軌道を進むことは、絶対に素人の趣味なんかに妥協せず、自分の良心が満足するまで、練り抜くことです。】
【いざそれより外に、生きて行く道がなくなった場合は、やりますが、その後で再び画の世界へ戻ることはできない様に思われます。】
【(売れる絵を描くということは)素人にわかり易い妥協した絵をかくことになります。これは退歩であり、怠けたことになります。】
人物を描くことをしなかった一村だが、肖像画をかくアルバイトが思わぬ副収入となったことはある。気品があり、精細な筆づかいで的確に故人(家族の希望で古い写真をもとに)の人となりを表現した。どんな手間がかかっても、三千円を上回ることはなく、無料でかくことさえあった。
【昭和52年9月、だれにも見とられなかったが、奄美の豊かな自然に抱きとられていったような、きれいな最期だった。】
享年69歳。ずっと自分を支えてくれ、独身で通した姉に遠慮もあり、まとまりかけた縁談もあったが、一村も生涯ひとりの生活を選んだ。
…なんといっても、まずは一村の画風が好きだ。和と洋の要素がどちらも感じられ、そのコントラストがよい、と思うものに、私は惹かれる。
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