童話屋の詩集 [よんでみました]
『六月』
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終りには一杯の黒麦酒
鍬を立てかけ 籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける
どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮は
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる
どこかに美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる
編者あとがきより
~両親をはじめ家族の暮らしを支えてきた石垣さんは50歳になって肩の荷をおろし、東京雪谷の1DKマンションを購入して一人暮らしをはじめます。55歳の時、40年勤めた日本興業銀行を停年退職しました~
『わたしはえのぐをといた』
わたしはえのぐをといた
昼をとっておくために
窓をみがいた
夜をとっておくために
『たんぽぽ』
たんぽぽ
たんぽぽ
ひらいたら
おひさまの
まごに なりました
『かぜとかざぐるま』
かぜに いろをつけたひとだれ
かぜに はねのあるのをみたひとだれ
かぜを みたいとおもったら
かざぐるまを みていてごらん
かざぐるまを ほしければ
かぜのなかを さがしてごらん
『一ぽんの木は』
一ぽんの木は
ねむっているわたし
幹は夜を吸い込んで
梢は夢のかたちにひらく
2007-03-18 11:00
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