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童話屋の詩集 [よんでみました]

おんなのことば

おんなのことば

  • 作者: 茨木 のり子
  • 出版社/メーカー: 童話屋
  • 発売日: 1994/08
  • メディア: 文庫

 『六月』
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終りには一杯の黒麦酒
鍬を立てかけ 籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける

どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮は
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる

どこかに美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる

空をかついで

空をかついで

  • 作者: 石垣 りん
  • 出版社/メーカー: 童話屋
  • 発売日: 1997/01
  • メディア: 文庫

編者あとがきより
~両親をはじめ家族の暮らしを支えてきた石垣さんは50歳になって肩の荷をおろし、東京雪谷の1DKマンションを購入して一人暮らしをはじめます。55歳の時、40年勤めた日本興業銀行を停年退職しました~

いそがなくてもいいんだよ

いそがなくてもいいんだよ

  • 作者: 岸田 衿子
  • 出版社/メーカー: 童話屋
  • 発売日: 1995/10
  • メディア: 文庫

 『わたしはえのぐをといた』
わたしはえのぐをといた
昼をとっておくために
窓をみがいた
夜をとっておくために

 『たんぽぽ』
たんぽぽ
たんぽぽ
ひらいたら
おひさまの
まごに なりました

 『かぜとかざぐるま』
かぜに いろをつけたひとだれ
かぜに はねのあるのをみたひとだれ
かぜを みたいとおもったら
かざぐるまを みていてごらん
かざぐるまを ほしければ
かぜのなかを さがしてごらん

 『一ぽんの木は』
一ぽんの木は
ねむっているわたし
幹は夜を吸い込んで
梢は夢のかたちにひらく
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