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永遠のおでかけ [よんでみました]

永遠のおでかけ

永遠のおでかけ

  • 作者: 益田 ミリ
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2018/01/26
  • メディア: 単行本

もう少し前に手にとるべきだったかな。
益田ミリさん。今までもちょこちょこ読んでいます

某A新聞(笑)にエッセイを長く連載されており、毎回ほぼ目を通しておりました。
いつからかお父さまのことが書かれておらず、だいぶ時を置き、亡くなっていたことに触れていました。その時間に、既に感じさせるものあり、でした。

…りんご作業の昼休みに、車の助手席をリクライニングさせ、扉を開けて風を通しながら読み始めました。私も一昨年末に亡くした父を重ね、目頭が熱く~。

【病人に食べたい物をリクエストされるのはうれしい。生きることに貢献できる喜びである。(病院の)小さな売店には、入院している人と見舞いに来た人とが必要なものが、バランスよく並べられていた。】

【担当医からがんの告知を受けた翌日、父は退院した。検査や治療など、これ以上なにもしたくない、抗がん剤治療は受けないのだから、もう明日にでも退院したい。頑として譲らなかったらしい。】
本人の意志が確認できるのなら、これが一番でしょう。希望に100%限りなく近く。

【~父はなんの躊躇もなくポケットから布の小銭入れを出し、おでんを買った。父が、わたしに買ってくれる最後のものかもしれなかった。】
そして事実そうなった。

「これが最後だな」という瞬間は我が家にもあった。口に食事を運ぶ段階になり、みなで囲んでいた食卓から、ベッドの上で母からスプーンでもらう形となった時、もう台所で一緒に食べることはないと。
入所が決まり、その朝、車イスに乗り込んで玄関をくぐった父。ここに帰ってくることは二度とない。
人生の終焉が近いということは、場面々で、口に出さぬとも家族それぞれが思っている。

両親と同居はしていなかった著者、「もうだめかもしれない」の連絡のあと、生きて会うことは叶わなかった。だけど、自立している娘、特別にべとべとと最後の時間を共にすることはお父さまも望まなかったと思う。

父親が生前、「いいところだぞ」といっていた場所へ旅した一文があった(この人のエッセイにもあったな)。
それもいいかもしれない。私自身については、現時点では全然思いつかないのだが。