ライオンのおやつ [よんでみました]
1973年生まれ。一番直近の「新井賞」(第11回)受賞作。
以前に読んだことがあるが、その時は響かなかった著者。そうなるとなかなか次には手を出さない私だが、新井さんは昨秋以降、盛んにどの媒体(TV、ラジオ複数)でも新井賞発表前にかかわらず明らかにこればかりを押していたし。圧倒的だったのだと。
よかった。返却に追われていたのもあって(汗)、ほぼ一気に数時間で読んだ。そういう時間は至福。涙高まる箇所は多い。
この瀬戸内の島のホスピスに私も将来入りたい。それには費用はどれくらい必要なのかなぁ~と本気で考えてしまいそうになる。
【こちら側からは出口でも、向こうから見れば入り口になります。きっと、生も死も、大きな意味では同じなのでしょう。~そこには、始まりも終わりも、基本的にはないものだと思っています。】
この著者の作品はNHKでドラマ化することが多いと記憶している。でも見たくない。
このままそれぞれの読者の中で想像しておく…がもっとも世界を壊さない気がする。
もしも々映像化(映画?)してしまうなら、上質な出来と役者でなければ許されない。
…きっと「朗読向き」。私にとってそれは、作品への最大の誉め言葉です。
【365日、毎日違うお粥でゲストのみなさんをお迎えします。】
ひゃあ、毎日どんなお粥なの!
【病を得て自分の人生の終わりを意識するようになって~】
一貫して『死の受容』が静かに、穏やかに流れる。
…死が近く、意識が混濁している描写もすばらしい。
やっぱり「今治」あたりの瀬戸内海を旅したい。そしてねー、チェロによる美しい音楽を聴きながらカヌレでも食べますかー(読んだ人ならわかります)。
最後まで行き届いた小説でした。
→《第4回衿賞》
2020-03-03 10:00