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現代語訳 貧乏物語 《走り読み》 [よんでみました]

現代語訳 貧乏物語 (講談社現代新書)

現代語訳 貧乏物語 (講談社現代新書)

  • 作者: 河上 肇
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/06/15
  • メディア: 新書

【いくら働いても貧しさから脱出できない現状は、100年前に『貧乏物語』が描いた状況の反復だ。河上は、構造的な貧困はなぜ生じ、それを克服するにはどうすればよいかという問題と格闘した。その思考の軌跡は、現在の私たちが読んでもまったく古びていないどころか、いまこそ広く読まれなければならない。】by佐藤優
河上肇 著、佐藤優 訳・解説。
新刊入荷で、これは読みやすくいい! と。
【河上肇は、一言で言えば、誠実な人、悲劇の人である。戦前を代表するマルクス経済学者、社会思想者家(1879~1946)。京都帝国大学教授になり(この頃の大学教授はかなりの高収入だった)、それにもかかわらず、貧しい大衆に対して人間としての共感を持ち続けていた。】
【河上は『貧乏物語』のなかで、構造的な貧困がなぜ生じ、それを克服するにはどうすればよいか、という問題を正面から受け止め、格闘した。】

最後まで読み切れればよかったのですが、他にも読まねばならない本が数冊待っており、この本自体も予約者が控えていて、前半だけ目を通して返すことに。ですので、中途半端な記録です。ご了承ください。

人はパンのみで生きるものではない、しかし、人はパンなしでは生きられない、というのが、この物語の全体を貫く、著者の精神です。経済の問題が人生の問題の一部となるのは、また、経済学が学ぶに値する学問であるのは、これが理由であると思います。】

佐藤氏が「はじめに」でこう書いています。
【(略~)富裕層の子弟ほど良好な教育を受ける可能性が高いという実態が見えてくる(中室牧子氏著書より)。実際、東大生の親の世帯収入は、950万円以上が半数を超えるという調査もある(2014年東京大学学生生活実態調査)。】

【ダントンの言葉で「教育は、国民にとってパンの次に大切なものである」とあります(略)。たしかに教育は国民にとって大切なものです。しかし、その教育が効果をあげるためには、まず教わる者に腹いっぱい飯を食わせてからでなければなりません。いくら教育を普及させても、その前にまずパンを普及させないことにはだめなのです。
当時の、イギリスでの「給食」制度についても述べられていました。子どもたちは給食を受けると、すぐに顔色が輝いてきて、態度が快活になり、学業の成績も伸びたのです。

また「年金」についてもありました。やはり英、の例です。
【「人は、一定の年齢に達するまで社会のために働いたら、年をとって働けなくなった後は、社会から養ってもらう権利がある」という思想…。年金を受けても、法律は決して年金を受けた人を蔑むことなく、また、何の公的権利を奪うこともありません。これは従来の貧民対策とはまったく精神を異にするところです。このような思想が法律に取り入れられたことは、近代権利思想の一大転機だと言えましょう。】

最後に、佐藤氏の「おわりに」と、「はじめに」より。
【子どもの貧困問題を解決するということは、労働力の質がよくなることを意味する。将来、公的扶助を受ける人の数が減ってくる。子どもが育てば税収も増える。そう考えれば、子どもの貧困問題こそが成長戦略である。
現在、国民は老後の不安とならんで教育の不安を抱えている。そのために貯蓄をおこなっている家庭が少なくない。教育の不安がなくなれば、親世代がお金を使いはじめるという経済効果が見込まれる。
なぜアベノミクスが「子どもの貧困対策」を取り入れながら、「人の成長戦略」として教育の無償化に目を向けないのか、私には理解できない。】
安倍さんは、この本を読みましょうか、かな。

いま私は「知の継承」に大きな関心を抱いている。埋もれてしまいそうになっている重要な近過去の知的遺産を、分かりやすい言葉で、未来を生きる世代に伝えるという作業を、どんどんしていく必要がある。この現代語訳によって(略)、「貧乏神退治」を呼びかけた河上の思いが、多くの読者に伝わることを期待している。】
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