半減期を祝って [太宰治と家族たち]
今度は、津島さんの小説を読みました。
ズバリ、タイトルは「半減期を祝って」。“皮肉” が十分込められています。
「半減期」って言葉、みなさん周知なのでしょうか。私は、先日の本で恥ずかしながら知りました。放射線元素が崩壊してその原子が半分に減少するまでの時間、です。原子力発電は一旦つくってしまえばそれを取り除くことは大変な時間がかかるということです。以前読んだ本を思います。私はやはり原発稼働は反対です。
3つの「小説」が収められています。1作目はちょっと津島さんの私生活と重なるかな、とも。
以下、メインの表題作より。
【(略)~一般市民の頭のうえに、原子爆弾がはじめてアメリカによって無慈悲にも落とされたのでした。それから、ほぼ70年の年月が過ぎ、トウホク地方にきわめて深刻な影響をおよぼす原子力発電所の事故がおきました。そのとき、放射線物質であるセシウム137が大量にばらまかれ、今から4年前に、ようやく半減期を迎えたのです。~】
というのも、今から30年後を設定しての、、、です。
【眼に見えるものではないとわかっていても、なにか見届けられるものがあるのではないか、と期待してしまう。なにしろ、生きて無事に、セシウム137の半減期を迎えることができたのだ。これからどうするかは、ゆっくり考えよう。そのうち、今度は天国からお迎えが来るのかもしれない。…】
そして、哀しいかなその通り、津島さんは68歳の若さで、原発の今後のゆくえを危ぶみながら旅立ってしまいました。
2016-07-11 20:00
nice!(0)