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思い出トランプ 再々読 [向田邦子と妹・和子]

思い出トランプ (新潮文庫)

思い出トランプ (新潮文庫)

  • 作者: 向田 邦子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1983/05
  • メディア: 文庫

先日の、柴門ふみさん向田漫画再読を受けて、こちらも再々読。
何度読み返しても恐ろしさはあるし、何よりも向田さんの、余計な説明のない文章=凝縮度を実感。そして、柴門さんの劇画はなおシンプルで、作品を損ねずの再現にあらためて驚く。
…正確には、「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」の3作品で1980年に直木賞受賞。「思い出トランプ」はその3つを含む13編(トランプ、だからか)を収録。翌年、81年に死去。
巻末に、水上勉が書いている。この時の直木賞選考にかかわり、山口瞳、阿川弘之氏と私の3人が強力にねばって押したとあった。そうだったのか。

「かわうそ」、赤いクリームソーダのくだりがうまい。夢なのだけれど、「血」とうまくかけている。…13作中、どれが私の好みか選ぶのは難しいが、秀作は「だらだら坂」かな。「はめ殺し窓」も、最後は主人公独特のハッピーエンド?という点が新しい。
そう、いつ読み返しても新しさを感じるから、読者が減らないのであろう。
しかし、亡くなってもう30余年。描写にはなつかしい昭和ばかり。今、ドラマで再現するのは難しいと思われる。文字で味わえればよいか。
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