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ほんじつ休ませて戴きます [よんでみました]

ほんじつ休ませて戴きます―人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集 (ゆうゆうBOOKS)

ほんじつ休ませて戴きます―人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集 (ゆうゆうBOOKS)

  • 作者: さかもと けんいち
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 2013/07/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

大阪、90歳現役の古書店主(「青空書房」)。大正12(1923)年生まれ。
休みの日の店先に掲げるポスターが話題になり、それを収録。そのHPを今見たら、昨年いっぱいで「閉店」の模様でびっくりしました。

【生活のために、出征の前に、夜学に通いながら買いためた100冊(岩波文庫)を、体から血が奪われていくような気持ちだったけれど、売らな食うていけないからしゃあない。
戦後すぐの水道もガスもないような時分に、まさかプルーストの「失われた時を求めて」を読む人がいるなんて不思議でしょう。でも、カフカもサルトルもよく売れたんです。
あの頃の日本人には、そうした知的なものに対する憧れや欲求がものすごくありました。
そういう庶民がいたからこそ、日本は復興できた。本を読むことが、隠れた原動力になっていたのだと私は思いますね。】
【定休日の前日、店でポスターを描きます。下書きなし。即興です。】

戦後の日本の姿に絶望し、自死を考えたこともあった。
【私は戦前の国粋主義的な教育で純粋培養されていたので、戦後の民主主義は「それまでの人生」を全否定されることでした。共産主義の方がまだ理解できる。民主主義はどうもわからん。日本女性がアメリカ人にすりよって、腕にぶらさがっているところや、近所の娘さんが梅田の街角に立って春を売っているのを見て、人間不信にもなりました。日本は取り返しのない国になってしまったと思うてね。何もかもに絶望して、死のうと思ったんです。
それで短刀を買うて懐に入れて、どこで自殺しようとうろうろして。~と思って行ったら、美術館が目に入った。せめて最後に絵を観てから死のうと思ったんです。
マチス展をやっていました。世の中に、こんなにも美しい色があるんか、と衝撃を受けました。~マチスに命を救われた。絵画に助けられた、そう思うてます。】
そう! この人の色鮮やかな絵は、マチスの香りです。

【よく奥さんに先立たれると「自分も早く妻のところへ行きたい」という人がいるけれど、そういう気持ちはまったくありませんね。女房はいつもそばにいると感じていますから。「呼びに来てほしい」なんて思わないんです。】
【大勢のサポーターのおかげで、毎日、店が開けられるんです。】
あー、一度、実際の店頭で、休日にかかわらず人が集まってくる、その手描きポスターが見たかった。お齢、の問題でしょう。。。おつかれさまでした、ですね。
≪大阪市営地下鉄谷町線中崎町駅(東梅田駅からひと駅)そば。天五中崎通商店街(通称おいでやす通り)、でした。≫
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