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夢あたたかき-向田邦子との二十年 [向田邦子と妹・和子]

夢あたたかき―向田邦子との二十年 (講談社文庫)

夢あたたかき―向田邦子との二十年 (講談社文庫)

  • 作者: 久世 光彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/11
  • メディア: 文庫

読書記録を溜めている。ちょっと前に読んだ分。間が空くと、いくら付箋をつけたままにしているといっても、感想の鮮度が落ちるので、早くせねば。

母が、もう某○オフに売ってしまおうとしていた中から、古びた95年の初版単行本を発見し、救う(笑)。
この演出家が、向田さんと組んだTVドラマは多数ヒットした。
【仕事が忙しくなるということは、人が増えるということなのだ。あの人がいなくなった最後のころ、私は少し離れたところから見ていて、それは可哀相なくらいだった。~どんなときだって自分の歩き方のスピードとリズムを崩さなかった人が~(略)。】
【向田さんは、叱ることより、叱られることの方が好きだった。あの人が『寺内貫太郎一家』を書こうと思い立ったのは、叱られ通しに叱られていたお父さんがいなくなったからだ。~理不尽だと、いつも唇を尖らせてばかりいたくせに、四十年の間に叱られたことを、全部書きたくなったのである。】
『寺内貫太郎一家』はドラマのドタバタをつい思い浮かべるが、原作は本当によかった。
【あれだけしか作品を遺さなかった作家は、普通ならとうに忘れられている。~文庫本を買う中・高生の女の子が、下から次々と上がってくるというのである。年配の向田ファンもそのまま冷めずにいるわけだから、新陳代謝ではない。年とともに伝説は暖かな輝きを増し、読者は着実に増えていく。稀有な作家なのである。】
乳癌の手術後、あきらかに向田さんの作風は変わったそうだ。“手術をしたことで、何かを非常に感じたのだと思います”と本人も対談で述べている。その通り、人生後半、名作をのこした。
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