きのう、きょう、あした。 [よんでみました]
つばた英子&つばたしゅういち夫妻の、最近の一冊。ていねいな暮らしを描いた『あしたも、こはるびより。』最終章、とある。とりあえず、もうこれにておしまい、らしい。それでいい。取材が来ることで、生活はざわついて、ペースは崩れてきた。今までの平穏ないつもの暮らしへ。
【手間ひまを惜しまない丁寧な暮らしのおはなしはおしまいです。おはなしの続きは、別のところでひっそりと。】
(過去の類書は追って私の手元に来るので、記録は続きます。)
この本は、写真が中心。先日、ロングランされているドキュメンタリー映画を観てきたので、手にとるようにリンクしました。
しゅういちさんが亡くなって、ひとりの食事は虚しくなり、次第に量も減ってきて、目方も減ってしまったそう。「人のために、喜んでもらうために、やる」って、結局は自分のためになっているのですよね。
昭和36年、36歳のころ、当時の公団の仕事から(愛知県)高蔵寺に初めてやってきた。その土地が好きになり、300坪の土地に敬愛するアントニン・レーモンドさんの自邸を模した家を建てた。玄関のないひと間の家。雑木林を育て、20年をかけて機織り部屋、子ども部屋、農小屋をつくり、書きためた原稿などを入れる書庫も建てていく。
映画にもありましたが、しゅういちさんが庭に黄色い立て札を添えていく…これがいいです。こだわりだったのでしょうけれど、あとあと誰にでもわかりやすい。
しゅういちさん、最後に佐賀の精神科病院の設計を無償で引き受けます。
…自らの入院生活の体験から、人工的な建物にこりごりし、「まっすぐ」がない空間をそこで描きました。直線的でまっすぐな通路より、ちょっとカーブを帯びている。フリーハンドの線のように。(この建物をみて、私が思い出したのは、立原道造のヒヤシンスハウスでした。)
完成をみることなく、しゅういちさんは旅立ちました。
2018-03-07 20:00
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