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なんでわざわざ中年体育 [よんでみました]

なんでわざわざ中年体育

なんでわざわざ中年体育

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/10/11
  • メディア: 単行本

いや、素晴らしい。作家・角田光代さんについては、忘れていたが今までも書いていて、小説の方は私にはいらないなーなのですが(ごめんなさい)、年齢がそれほど変わらないこともあり、「生活」には興味津々なのです。
『Number Do』に連載。この本では2011年東京マラソンにはじまり、15年秋の7回目のフルマラソンまで。仕事の依頼がきっかけではあるが、ランニングはもうご本人の「習慣」になっている。いやぁ、特別な運動はしてこなかったのに1967年生まれの著者がフルマラソンで4時間40分前後とは、大々尊敬です。

【私のネットタイムは4時間43分45秒(←※初マラソンの記録!)。自分で想像していたより、うんと早い。しかしそんなことより、5時間近く、いっときも立ち止まらず、いっときも歩かず、走り通したことが自分でも信じられない。よくそんなことをやったものだと思う。こんなに走るのが好きではないのに。そしてちょっと自分で自分をえらいと思ったのは、5kmのラップタイムがまったく変わらなかったこと。30km台が34分だが、あとはすべて33分台。これは単純に、うれしかった。自分の内の、不安や、焦りや、闘争心に、勝ったという証拠だもの。(略)~しかし、あれれ、「次回」と考えているということは、また走る気なのか、私。つくづく謎のスポーツである。】
速くもならず、遅くもならず、はすごい。長い距離をバランスよく通す「持久力」は私には永遠の憧れです。
【はっきり目指すものがないと、毎週末走るモチベーションがゆっくりゆっくり下降していくのである。これは学生時代における中間・期末試験とよく似ている。試験なんてなければいいと当時は思っていたけれど、今思うと、ああした機会がなければ私はいっさいの勉強をしなかっただろうなあと。】

マラソンだけでなく、山登り、というか「トレイル・ラン」にも挑戦している。
【~病院にいったところ、仙骨を骨折していた。なんと生まれてはじめての骨折である。尻はこの先1カ月以上痛むらしいが、この先の痛みを差し引いても鳥海山はたのしくてうつくしかった。初骨折も誇らしいほどだ。いい時間を過ごすと、失恋という痛みもやがていい思い出になる。これまた、男女の妙のようですな。】
嗚呼、私も軽い登山してみたい!(残念ながらタイムリーな季節ではないですね…)
そして、マラソンには「トレイル・ラン」が有効に効くことが実証されます。トレーニングとして抜群らしい。全体的に『楽に走れる』ようになるそうだ。

【出張仕事が土日にかかる場合、たいてい荷物にランニングシューズを入れる。】
海外でもマラソンに参加。そして、外国での朝のジョギングも今ではお手のものになった。
【走ると、どうもその町と親しくなるらしい。なんにも持たずに、なんにもこわがらずに、べったりと地に足を着けてまわった。そのことが、距離の近さを錯覚させてくれるのだと思う。】
…もう少し、いろいろ紹介したいのだがこのへんまで。ちょっと体を動かしたいな~と思っている人(中年以降・笑)には大おすすめ。とにかく今の私には刺激的な一冊でした。
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