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生きがいは愛しあうことだけ [よんでみました]

生きがいは愛しあうことだけ (ちくま文庫)

生きがいは愛しあうことだけ (ちくま文庫)

  • 作者: 早川 義夫
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫

早川義夫さんエッセイ。
1947年生まれ。歌手(「ジャックス」:私に記憶はないが)、元書店主、再び歌手。
62歳で初めてひとり暮らしをしたとある。…というのもなんと20歳で結婚。そして今もその奥さまはいるのだが(仲は良い、とあり。奥さまについて書いた章もある)。そのへんが、おもしろいというか。奥さまも、嘘か本当か、こうある。
【「~よしおさんが人を好きになってしまったのなら、それはしょうがないことだし、それをやめろとか、いちいち、やきもちやくなんておかしいじゃない。新聞沙汰になるようなことさえしなければ何をやってもいいわよ」】
現に、『ぼくは本屋のおやじさん』時代(だいぶ昔~)、そんな女性もいたらしい。
そんな大きく支持もできない面もたくさんあるようなのだが、それを含めても、この方には、やさしい哲学みたいなものをいつも感じる。

【数年前、ある歌を聴き「あれが音楽なら、僕のは音楽でなくていいや」と思ったことがある。すごい自惚れだ。ところがその歌はあっという間に大ヒットし、それも流行歌でなく、いわゆる名曲扱いで、みんなに親しまれ今も歌われている。音楽も人も人種多様、さまざまだ。】
【最近、最も感動した音楽は、「ロンドンハーツ」というテレビ番組で、出川哲郎氏が弾いた〈星に願いを〉であった。場所はローマ。プロポーズするために練習した3分弱のピアノ演奏だが、これを超える音楽を僕は知らない。芸術は思ってもみないところにある。】
うまいだけが、音楽(歌)ではない、のだ。

別離について。
【~それは男女間だけでなく、仕事などにおいても起こりうる。~かつて本屋をしていたころ、うちではアルバイト代をずうっと日払いにしていた。どちらか一方が厭になったら、いつでも自由に、貸し借りなく、恨みっこなしで、サヨナラできるからだ。別れは悲しいがしょうがない。話し合っても無理だ。去る理由は1つ、得るものより失うものの方が多いからである。】

【友人〇〇ちゃんは小説を書き、音楽について文章を書く人であり、歌い手でもあり、ブコウスキーなどの翻訳家でもある。ゆえに、英語がぺらぺらだ。ところが、僕はいまだかつて一度も〇〇ちゃんの口から英語の単語を聴いたことがない。歌詞だって、今の流行歌と違い、一言たりとも英語が使われていない。そういうものだ。ものごとを中途半端に知っている人ほど、知識をひけらかす。僕もそうだ(たとえば、カメラが好きになるとつい機種名を口にしたくなる)。】

巻末ではさまざまな分野の本が紹介されている。
数冊、これから読むつもりのリストに加えました。《私の利用地域:図書館予約の個人画面内に「今後読みたい本」を羅列できるシステムあり・その本が今貸し出し中か…まで毎回丁寧に照会されます。》
【(作家木村裕一氏が著書で)誰もが「すぐに童話作家になれる」と断言している。「基本的には、でたらめな話を勝手につくっているだけなのである」。ただし、「あなたにしか書けない」ものを書く。「一番肝心なところ、一番言いたいこと」は、書かずに、思わせる。「書かないところを想像しておいて、書いている場面でいかにそれを感じさせるか」。うーん、むずかしい。】
重い。だから作家はすごい。特に、私は児童書作家を尊敬しています。
【(野田知佑氏が著書で)「人間は50歳からでも充分間に合う」という母の口癖。~「大人になるのは素晴らしい。自由に生きることができるのだから」と言い切る。】
“50歳からでも~”、励まされる言葉だ・苦笑。

両親が、それぞれ死ぬ前に食べたいといっていたものを結局食べさせてあげられなかったエピソードも印象深い(「お鮨」が「のり巻き」に、「らーめん」が「そーめん」に)。
急な事故などでなく、ある程度予測できて死を迎えられるのなら、できるだけその人が最期に口にしたいと願ったものを食べさせてあげたい。それが叶ったら、人生幸せだったということで?!?…しょうか。
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