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身体(からだ)のいいなり [よんでみました]

身体のいいなり

身体のいいなり

  • 作者: 内澤 旬子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/12/17
  • メディア: 単行本

何年に1回かのヒットです。おすすめ。文章もいさぎよさも気持ちがいい。1ページ目から、これはただのエッセイではないとわくわく感が。
よくある闘病記ではありません。

目次の項目、1:持病の歴史、2:そして、癌ができた 3:ようこそ副作用 4:乳腺全摘出、そして乳房再建。
昔から体は弱かった著者。なにかしら故障はあった。30代後半で乳癌発覚、再建を含めて4度の手術。入院の要領も、上手になっていく。

【(略)~彼女たちと洗面所などで顔を合わせれば(略)「ええっ子どももいないのに乳癌なの!? それはかわいそうに…」と過剰に同情されるのである。】
まったく、余計なお世話である。
私にも似たことがあったな。Ayu乳児の頃、出産した病院の小児科に肺炎で入院。ボランティアの中年女性だったと思う。Ayuの顔を確認して、「えっ、お母さん、ひとり目で(障害児なの・気の毒に)…!」 傷つくというより、それは人間の発言として違うよ、と冷静に判断できた自分がいた。

この方は、乳房を失うことに対して、妙な悲愴感はありません。むしろ、内蔵の疾患ではないのだから、(外に出ている分)手術もしやすいし、入院も短く済むととらえています。
胸に執着はなかったが、着替えるたびに落ち込むのであればそうならない方が賢明と再建することに(両方とも手術)。
あれっ、終えてみたら左右が同じじゃない等、数々の疑問があとからあとから…。
【男性から女性に性転換した友人に話したら「所詮ホンモノにはかなわないんですよ」と。
そうだった、保険適用予算内で「らしきものがつけばよしだった」ではじめたことだった。】
(ちなみに人工的に付けたものはマッサージを繰り返し、(略)乳房っぽい“たたずまい”とする、のだそうだ。)

いろいろととても書き切れないが、著者はこの経験を通して、今人生で一番気持ちよく生活しているのだそうだ。ヨガで得たことも大きかったよう。
内澤さんは、ひと箱古本市提唱者の奥様でもある(※その後離婚)。関連物のイラストはすべて彼女による(’67生まれ)。
この著者の作はまだ刊行はわずか。十分追っかけられるし、価値は十分ありそうです。世間の評価も高い。目のつけどころがよい(優れている)のだと思う。
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