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ふたりからひとり [よんでみました]

ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~

ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~

  • 作者: つばた 英子
  • 出版社/メーカー: 自然食通信社
  • 発売日: 2016/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

何を手立てに図書館予約をかけたのか、今となってはわからない。つばた英子&つばたしゅういち夫妻の一連の著作にかけており、最初に手元にきたのがこれ。
…一昨年、ドキュメント映画公開によって一気に注目を浴びた方たちでした。

妻1928年生まれ。夫1925年生まれ(建築専門)。自然に囲まれた「レイモンド・ハウス」(愛知県の自宅)に住みながらの暮らし(聞き書き)。残念ながら、ご主人は2015年、90歳で午睡中に亡くなりました。88歳でタヒチにひとり旅に出たり(このお疲れもあったのか?、その後しばらくして入院・自分らしく過ごせないと早々と「自主退院」したそうです)。
老夫婦、「買ったものは贈らない主義」(自分たちで作ったものを差し上げる)。
家仕事に従事する変わらない毎日、でもさすがに動きやからだに制限も出てきて。そんな時間の流れが綴られています。

【この家は公団(しゅういちさんの当時の勤務・ホープだった)からの退職金を全部使って建てたの。蓄えはない。草木一本はえていない石ころだらけの造成地に、ただ一軒、ぽつんと木の家を建てて。~あれから四十年、全然古びませんね。中も外も、どんどん趣を増している感じ。】
【サラリーマンなのに自分の意にそわないことは、決して加わらないじゃない。だから驚くことばかりだったけど、その生き方は、まちがっていないと思います。考えていることが十年早くて、時代に受け入れてもらえない。クライン・ガルテンも、いまはすっきり受け入れられていますものね。】
【戒名はつけていないの。お坊さんにお経もあげてもらっていないし、~初七日、四十九日も関係ない。とてもシンプルに、写真とお花を飾って、陰膳を毎朝お供えしているだけ。】
【東大に入るまでの東大生と、東大を出てからの東大生がいる。東大の肩書だけで生きている人間。~本当の東大生というのは、大学を出てから東大生らしい独自の道を歩いた人たちで、君たちはそういう人間になってくれと。(当時東大生だったしゅういちさんが教授から聞いた言葉)】

【生きものの中で、三世代が一緒に暮らせるのは人間くらい。それが、ほかの生きものにはない、豊かな生活史をつくりあげてきたという説があって、僕も同感です。】
【お金を出せばなんでも手に入る便利な時代だけど、自分の手足を使って暮らすのが、ほんとうの豊かさなんじゃないかって思います。】
外で働くより、旅行に行くより、家のことをしていたいの。消費社会になり、みんなは働いて稼いで、それで得たお金で物を買うけど、私は自分でつくり出せればいいと思ったから。畑で野菜を育てて、機を織って。】
…私も、ほんとうは外に働きに行くのではなく、家に居る普通の奥さん、が合っていたのではと(その反面、外に出たのもよかったと思う私もいる)。

【世の中の出来事にはあまり興味がなく、いつも遠くの方を見ているようなところが、二人はいちばんよく似ていたのかもしれません。自分の感性を大切に、あまり目の前のことに囚われず、自然に六十五年が過ぎていったような気がします。】
英子さんがしゅういちさんに寄り添って生きてきた。いつでもしゅういちさん第一だったかと。
実は食べものや、使うもの(電気製品など)の選択眼は違っていたらしい。これからの時間は、奥さん自身の好きなようにしてもらいたいなーと思います。

独立した娘さん2人あり。女の子の孫もいる。いずれ、お母さんのあとはここへ住み続けると決まっているそうです。世代で順々に守っていくのですね~。
【家を維持し管理していくって、なかなか大変なものですよ。これは、つばた邸(※津端サンです)のハウスキーピング記録ファイル。農小屋、染色場、書庫、それぞれ詳細を書いて。僕らがいなくなっても、修理していかないといけないでしょ。電気や水道の記録とか、そういうのを管理していくためのノウハウも必要だし、どれくらいの頻度でやればいいのか、あとに引き継ぐ人が困らないように伝えていかなければならないと思って。(しゅういち)】
そうですよね、「家」は修理もいるし。縁側や、つばた邸のように大きな樹が繁る庭は欲しい!けれど、ちまちまと文章を書いて残したり、ましてや自分の部屋さえなかなか断捨離できない私には『一軒家」維持は難しいなー(雪かきさえやれる自信がない)と思うのでした。
まちがいなく永遠の憧れ、ではありますが~。
さぁ、ロングラン上映はしているようなので、いずれ映画で、立体的にご夫婦の暮らしを感じたいと思っております。
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