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めぐらし屋 [よんでみました]

めぐらし屋 (新潮文庫)

めぐらし屋 (新潮文庫)

  • 作者: 堀江 敏幸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫

おすすめ記事を見て。この方は2冊目?かな。’64年生まれ。この文章は真似しようとしてもまず出来ない。
【~母親はすぐ、傘を軒先に干してくれた。雨を吸って濃い熟柿色になっていた傘は、昼まえにはもうからりと乾いて、明るいオレンジに変わっていた。わたしはたぶん、傘を干すときの色の変化も見てたんだろうな、黄色のバリエーションを適当にひねり出したわけではなかったんだ。~】

疎遠だった亡くなった父のことを、あることから知るようになる。
終わりが思ったよりそっけなく、残念な気もしたが、まぁ雰囲気は十分味わえたかな。

解説より。
【堀江氏「日常は、地震計のように跳ねる大きな振幅ではなく、遠くから見ると直線に見えるほどの小さな浮き沈みで成り立っている。それは退屈に見えるかもしれないが、僕には退屈ではない。」】
だからこそ、繊細な描写ができるのだろう。この人の物語は常に“静かに”流れる。

《ふと、高野文子さんの漫画『黄色い本』を思い出す。片田舎の女子高生が、図書館で借りた黄色い表紙の『チボー家の人々』を読書しつつ送る日々を淡々と描いたもので、本の世界が女子高生の生活の中にときどき踏み出してくる。~『めぐらし屋』と似ているのである。(東直子氏評)》
嗚呼、ここで高野文子さんが出てきますか。大好きな漫画です。私を、「チボー家の人々」に誘ってくれた作品です。

この堀江さんの本、図書館で借りたのに、母が持っていたことにあとで気づくのでした。。。
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