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明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子① [太宰治と家族たち]

明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子

明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子

  • 作者: 太田 治子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2009/09/04
  • メディア: 単行本

90分に及ぶ作家・太田治子さんのNHK教育ドキュメンタリーは今朝見終わりました。世間には愛人の子と言われた太田治子さんが、金木を訪れ、父親の生家であるいわゆる「斜陽館」に思いを背負って入っていく姿に感情移入してしまい、胸がキューっとなったのは私だけではないはず

太宰の生誕100年に、父と母が交わした手紙等を初公開。それらを盛り込んだ今回の新刊書を読んでからこの番組を視聴することができ、倍増してその世界を味わうことができました。
母である太田静子がその後女手一つで娘を育てることにどれだけ苦労したか(元は医者の娘でかなり「裕福」・その点は太宰と共通・つまり『斜陽』で“貴族”の母娘として描かれた)、戦争中であれ文学の世界にどっぶり浸かり、「赤ちゃんが欲しい」とまで手紙に書いた事実。そこまで私ははっきり知りませんでした。

私は履修の関係で、短大のゼミで太宰の短編を読まなきゃいけなくなり(笑)、新潮文庫のいわゆるあの黒のを数冊持っていますが、本当に太宰の作品を読んで好きだというわけではありません(だいたい長編は『斜陽』しか読んでいないし、はたち過ぎてからこうして触れただけで青春時代にハマった部類でもなし)。
ただ、太田治子さんがお嬢さんを育てる中で発表した絵入りのエッセイをAyuが乳児の頃に読み、好印象。その万里子さんはもう大学生になり、彼女の高校入学と同時に離婚したことも今回知りました(万里子さんという名は、母・静子が最初の結婚で亡くしてしまった娘・満里子、からもらっていることも)。
そして、NHK朝ドラ「純情きらり」は、太宰の正妻との間の次女、作家・津島佑子さんが原作、太宰と思われる役の設定もあり(宮崎あおいの主演も魅力だった)、本を読んでいくと15歳で亡くなった太宰の長男・正樹はダウン症であったことも私には発見でした。
そして、その兄の存在をいつも感じながら作品を書いている津島佑子さんも数冊読み、感ずること大…。
私は太宰より、父の存在から離れられない(世間が離さないのでしょう)その子ども、作家である2人の娘のいろいろな思いがとても気になるのであります。
《「正樹」という名が、太田静子から提案されたものだったという事実には、さすがに私もショックでした。このことは、生きていた津島(石原)美知子さんが知らなくてよかったと思います…。》

右カテゴリー『純情きらり』」のくくりとは別に、『太宰治と家族たち』を加え、整理しました。よろしかったら、どちらもご覧ください。
この新刊書からはたくさんの抜き書きをしています。とてもこれでは収まりません。また以降に書きます。
《NHK教育では、太宰に関して現代女性作家が評論しているシリーズが全4回で放送されています。そちらも興味深く見ています。今週水曜夜放送が最終です。》
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