SSブログ

こんなツレでゴメンナサイ。 [よんでみました]

こんなツレでゴメンナサイ。

こんなツレでゴメンナサイ。

  • 作者: 望月 昭
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/04/22
  • メディア: 単行本

http://eri-green.blog.so-net.ne.jp/2006-06-10
  http://eri-green.blog.so-net.ne.jp/2008-05-11-3
うつ病との闘病3年、細川貂々さんのツレ(ご主人)自身が書いた本。
これ、いいです。うつ病だけでなく、帰国子女だった生い立ちから、奥さんとの出会いまでなど、むしろそちらが興味深かったです。

【「病気でずるずると働いて、不健康な状態が続くより、会社をスパッと辞めて病気を治そう。健康になれば、また生き生きと働けるようになるよ。そのほうが、毎日楽じゃん」:貂々】
【「会社はなくなっちゃったけど、人生はまるまる残っているんだよ。辞めてよかったじゃん!」:貂々】

【セツ・モードセミナー卒の有名イラストレーターが多い理由については、在学中によく理解できた。ここでは生徒の素質を決して潰さない。】
この絵の専門学校でふたりは出会う。たしかにここ卒のヒット作家はいるなぁ。

【僕はセツ・モードセミナーに入る前は、漫画家のアシスタント業をしていた。だから、この学校に入学して、他の生徒たちの絵をじっくり見るようになったが、商業漫画の匂いには敏感に反応した。相棒の絵もその匂いがしていたのだ。】

「細川貂々」のペンネームは、当時の総理大臣が細川護熙氏だったことと、「貂(てん)」はなんと貂々さんが好きだった高野文子さんの漫画からヒントを得たのだそうだ。(高野さんは私も大好きな漫画家。「チボー家の人々」に誘ってくれた方でもある。)

【「私と君は似ている。一緒にいると安心する」と彼女は言っていた。それは僕も同感だった。体質や疲れやすさ、暑さ寒さの感じ方や、お腹の壊しやすいところも似ていた。音や匂いに神経質なところも。性格は微妙に違っているようだったが。】

貂々さんも、今のようになる前にはいろいろなアルバイトをしていた。連載もしていたが、そううまくもいかない。
【「すみません、うちのツレが、うつ病になりまして会社を辞めてしまったんです。なので何か仕事をいただけないでしょうか」 と、僕の病気をむしろ口実にして営業活動をしていた。
これが、ピンチをチャンスに変える決定打となった。隠さずに営業していたところ、同じ病に苦しむ人が多いことを知らされ、本にしようと思いついたのだ。】

【本(『ツレがうつになりまして。』)は社会に受け入れられ、役に立つものとなったようだ。常に「だれそれのナニナニのような漫画を描いて」と要求されながらの仕事を強いられていた相棒が、はじめて個性的な、自分以外の誰も描けない仕事をなし得てしまったことになった。】

後半には、病に苦しんだ著者自身が読んでよかったうつ病体験者のエッセイや、お医者さんの本が紹介されている。

【刺激に弱く、悪意に弱く、なんだかいつでも追い詰められている。それが少しずつ良くなり、また悪くなり、波を描くようにして回復してしてくる。決して元のように戻れないが(病気になる前は無理をしていたのだから)回復して別のところに戻ってくる。
今まで、知らなかったものや興味も覚えなかったものが、向こうから自分のところにやってくる。世界にはこんなものもあったんだぞ、というふうに。
そして、ある日ふと、生きていて良かったと思うのだ。そんな病気だ。】

【うつ病の闘病を三年やっていて、僕はIT業界の流れからは完全に落ちこぼれてしまった。もう最新のOSを扱うこともできない。最速のハードウェアや、最新の媒体とも無縁だ。だけど、なんと僕の貧血が治ってしまった。内蔵の数値も正常になった。】

ツレさんは1964年生まれ。イラストレーター貂々さんは1969年生まれ。ほぼ私と同世代~。
そして。。。それはここには書かないでおこう。今後の貂々さんの作品がまた楽しみだ。貂々さんと会社を興したツレさんの動向も。

とにかく、いつまでもいいコンビで、ずーっとしあわせでいて欲しいおふたり(+イグアナくん+α?)です。
nice!(0) 

nice! 0