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火の山ー山猿記③ [純情きらり]

火の山 山猿記(上) (講談社文庫)

火の山 山猿記(上) (講談社文庫)

  • 作者: 津島佑子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/28
  • メディア: Kindle版

火の山 山猿記(下) (講談社文庫)

火の山 山猿記(下) (講談社文庫)

  • 作者: 津島佑子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/28
  • メディア: Kindle版

やっと上巻を読み終わる(筋はだいたい把握しているので走り読みだけど)。
ようやくドラマの前半とリンクしてきた。杏子が一度目の結婚でかなしい思いをしたこと、下宿していた斎藤先生(劇団ひとり)は笛子、そして桜子と縁談話があったこと(レコードを割った細かいエピソードもちゃんとあった)、杏子がお産婆さんを目指したこと、笛子の方丈記エピソード。
ようやく達彦さん登場。しかし、見合いよ、見合い。実家は東京の設定。次男。婚約後、出征してしまい、長く連絡がとれないのはドラマと同じ。(達彦留守の間、達彦母親から、礼儀作法、家事全般の指導を受けるとある。同じ。味噌屋じゃないけど。)
弟・勇太郎が、姉笛子の結婚相手・画家杉冬吾に抱く反発も書かれている。その後、芸術家として、人間として、認めていく。桜子の結婚相手に対しても、すばやく人間観察。
姉たちに対し、弟として案じる姿がいとおしい。←本ではこれが主題か。
冬吾=青森の大地主の五男。桜子は、冬吾への尊敬と同時に、亡くなった父・源一郎(ドラマ:三浦モモカズ)と同じ「におい」を感じる。また、ピアノをあきらめたあと、“写真”に一時没頭する桜子。
その写真に対して、「桜ちゃん、オレはこの写真にとても強いジェラスーを感じる」と、冬吾。
(ジェラシー、ね。津軽訛り。)

【引用】『冬吾は小品シリーズ「石」を描きつづけたが、その第一作は個展に出されたのち、桜子に捧げられた。冬吾の描いた石の静謐な生命力、石の魔術的な美しい歌声は、まさに桜子が冬吾にインスパイアしたものなのだった。
その絵は今でも、松井家の応接間に大切に飾られているはずである。』

愛知県岡崎が桜子たちの実家、とドラマでは設定しているが、本では甲府(八丁味噌がでてこないわけだ)。富士山が物語の背景として、大きく聳え立っている-。

ドラマの方は、きょうで終わり。
きっと別の形で叶うだろうと思っていた演奏会は、達彦さんの手による演奏でしたね。
たぶん死なせはしない。そういう余韻は残したとしても。
月に手を伸ばした冬吾さんも死ななかった。
きっと母マサさん(竹下景子さん。原作では夫より長生きで娘たちの成長をある程度みています)は、自分の方に呼ばない。
輝一クンが、生命ある世界の方にひっぱるでしょう。

私はもうしばらく、下巻、そして石原(津島)美知子さんの本物の自伝を読み進めていきます。
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