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山なんて嫌いだった [山登り&ウォーキング]

山なんて嫌いだった (ヤマケイ文庫)

山なんて嫌いだった (ヤマケイ文庫)

  • 作者: 市毛良枝
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2012/01/20
  • メディア: 文庫

女優・市毛良枝さんの著書。1950年生まれ。
お父さまは60年以上現役の医者として働き、恩返しにと永久献体を言い残していた。父親を看取ってもらった医師との何気ない会話から、山に登るきっかけが生まれたそうだ。

【ホントになにがいいのかしらね?と私も思う。でも、あえて不便な生活を選ぶことに、私は自分の求めるなにかがあるような気がしていた。】
【(山小屋を出て)見上げると、おそらく今まで見たうちでも一番たくさんの、こぼれそうに大きな星が夜空にまたたいていた。この地球にたったひとり、私だけが存在しているような錯覚にとらわれた。~私と星だけの世界。このうえもなく孤独なのに、ちっとも淋しくなく、真っ暗なのに怖くもなかった。まるで星に包み込まれているようで、とても幸せだった。】
【このころ、私は人生最大の窮地に立たされていた。結婚、離婚のトラブル、さまざまに絡み合う現実問題。(略)~岩をガッシっと掴むのも、確実にひとつひとつを手の内に入れていく。まさしく「手応えあり」といった感じで、隠されていた原始の血が騒いでワクワクしてきた。(略)~山に行っていれば、時折見知らぬ人に指差されることはあっても、いつでも、ただの人でいられた。】

【一年の360日も休みなく、お金を遣う暇もないほど働いていた時期があった。ばかばかしいことだが、なんだか自分が無性に可哀相になって、自分自身をほめてやるつもりで宝石を買ってみた、よほど淋しかったのか、そんなことが数年続いた。その熱がおさまったとき、前よりもっと淋しい感じになった。ものでは幸せになれなかったのだ。】
【自分の求めるもののために長い休暇をとってニュージーランドへ行っていたとき、「半年も離れていたら、動きの早いこの世界ではすぐ忘れられちゃうよ」と助言してくれた人がいた。しかし、私は「そうかもしれないなー。そうだとしたらそれも私の運命だろう」と思った。人が絶賛してくれることより、自分が認める自分でいたかったのだ。】

もちろん田部井淳子さんの話もあった。田部井さん役を演じたことも。
【以前、取材のときに「私の人生の大当たりは夫」とおっしゃっていた。】
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