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片想いさん―恋と本とごはんのABC [よんでみました]

片想いさん―恋と本とごはんのABC

片想いさん―恋と本とごはんのABC

  • 作者: 坂崎 千春
  • 出版社/メーカー: WAVE出版
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 単行本

この人、いいです。数々のヒットキャラクターをこの世に送り出している女性でありながら(JR東日本のICカードSuicaのペンギンや、カクカクシカジカとか…)とても控えめな内面をお持ちです。それがとても心地よい。作者おすすめ本が多数載っており(なつかしい児童書も)、今後の私の食指が活発に~。

【(憧れていた)彼の部屋は…文庫本が並べられていたけれど、どれもカバーがはずしてあった。「どうして?」とたずねたら、「カバーの色がガチャガチャうるさいのがいやなんだ」と言う。
(中略)だめなんだなあ、とさとった。彼が彼女と付き合っていなかったとしても、彼はわたしと並ぶ人ではない。残念だけど、そういうことだ。
うちの台所には、銀行でもらった安っぽい皿と、ウェッジウッドのティーカップが同居する食器棚がある。ふたが油でぺとぺとした調味料のビンが並んでいる。混沌の、でも愛おしい台所。】

【『存在の耐えられない軽さ』…映画の印象が深かったので、すぐ本を買って読んだ。映画よりもっと複雑で深い内容で、なんてすごい小説だろうと思った。でも今改めて読んでみたらちっとも頭に入ってこない。本にも「出会い」のタイミングがあるのだな、としみじみ。】
まったくその通り。

【まるまる一週間、家にこもって仕事をしていて、言葉をかわしたのは新聞の勧誘員と宅急便のお兄さんだけで、つまらないテレビを、仕事からの逃避の気持ちでぼーっと見てしまって、テレビを見ながら髪の毛をいじっていたら、きらりと光る白髪を発見しちゃったりしたとき。ふうっ、さえない人生だなって。
そんなときの処方箋。わたしは『るきさん』を読む。

るきさん

るきさん

  • 作者: 高野 文子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1993/06
  • メディア: 単行本

…問題は「るき的生活」に染まると「一生ひとりでいい」と思ってしまいそうなところかな。】
「るきさん」は私も大事にしている一冊。高野文子さんは作品数のとても少ない漫画家なのですが、すべて私は単行本で持っています(だって数冊しかこの世に出ていないから)。
のほほんとしていますが、そこには人生を送っていく上での哲学のようなものがあります。全作品(6冊かな)、そうだと思います。
この方も、るきさんファンだったのかぁ~(高野さん支持者は結構いるハズ)。
ちなみに、「るきさん」は、雨続きで洗たく物が乾かず着るものがなくなって、ついにレインコートを着て外出しちゃうとか、鏡がないからとテレビの画面の反射に顔をうつして髪の毛を整えるとか、そういうひと。私は「焼きそばパン」のところとか、デパートについての言い方のくだり(わかる人にはわかる!)を思い出し、いつでも笑えます。おすすめです。
★ちくま文庫でも刊行されています★

【わたしは、日々の生活のなかで、その場をやり過ごすために、心ない言葉をいくつもまき散らしているように思う。でも自分の責任において、自分がつくるものには、嘘のない強さが欲しい。】
それがこの人のお仕事にあらわれているのかな。

【キッチン棚にちょこんとのっかっている「バウルー」。「バウルー」はホットサンドを作る調理器具だ。…キャベツとベーコンのバウルーがうちの定番で、小学生のわたしは朝ごはんに5個たいらげたこともある(よく考えると食パン10枚分なんだよね。お母さん、途中で止めてください)。】
これ、うちにもたしかありました。どこにいったんだろう? 無性に食べたくなりました。
坂崎千春さん:1967年生まれ。絵本作家、イラストレーター。
ひらがな、をじょうずに散りばめ、大切にしていると感じます。ほんとうのやさしさ、がもらえます。
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